ジャックポット
「ごちそうさまでした~♪」
「ごちです」
お腹いっぱいの後輩たち。
満足してくれたみたいで何よりだ。
店長。
ごちそうさまでした♪
と、そういや.......?
「そういえば、京子ちゃんと人世ちゃんいつからの知り合いなの?」
「うす。文化祭の走研の部室で会ってからっすよ?」
「はい!部室で色々話してくれて。その後、先輩方と会いました!」
「あら。部室で2人で何を話してたのかしら?」
「それはですね~♪」
それは、気になる。
しかしその時、人世ちゃんの顔がひぃっ!と、ひきつった。
「大した事じゃないっすよ。ただ見学したいっつったから、相手しただけっす」
あまり話したくないような京子ちゃん。
2人のその様子を見て輝さんは、
「まあ、野暮でしたわね。失礼、京子」
輝さんが、そう言うのら突っ込むのは止めとこう。
人世ちゃんが、あー痛ーと、足をさすっていた。
なんだかな。
「んじゃま、お腹も膨れたことだし!さっきのメダルゲームと洒落混みますか!」
──ジャラジャラジャラ。
ポップコーンでも入りそうな、プラスチックの丸いカップに、メダルが落ちてくる。
とりあえず、500円で交換してみた。
.......結構有るもんだな。
「みんな、交換した?じゃあ、番外編、メダルで走馬研究会~!」
「よっ!」
輝さんの合いの手。
珍しいな.......。
びっくりして、後輩たちが合いの手を忘れて輝さんを見た。
輝さんの顔が真っ赤だった。
少し遅れて後輩たちも、
『た、待ってました!』
「いいですから......」
レア輝さんゲット!
と、はしゃぐ私達。
そして競馬のコーナーに人はなく、余裕で4人座れた。
.......でないと、こんな騒がない、流石に。
座った私達の眼前に、小さな馬のフィギアが並んでいる。
「これ、ちゃちいですね」
「せめて、かわいいと言ってやれ新崎」
「賭け方は、一緒なんですね」
「うん。制限なし好きに賭けてよし。メダル増えりゃよし」
各々、メダルを入れてボタンを押して好きに賭けていく。
一応、レースごとに毎回馬の名前が液晶画面に表示される。
何回か、やってみて感想はというと。
.......完全に運ゲーだこれ。
予想という予想は立たないに等しい。
こーなると、この展開だと.......。
「モグリ!モグリキャップ!ちきしょー!」
「ぬ。アルフェーブルが負けるなんて」
「あ。三連単当たった」
人世ちゃんの席の払い出し口から、ジャラジャラとコインが出てくる。
......やっぱり。
私も運のやり取りは出来る方だけど、この娘の運という要素はズバ抜けている。
でなきゃ、5分もメダルが出続ける訳がない。
「新崎!カップいっぱいパチッて来たぞ!」
「ありがとーございます!西崎先輩!」
モリモリにメダルの入ったカップが、20個ぐらい。
どーしよ、これ。
「みんなで使いましょーよ」
「じゃあ、あのメダル落とすヤツにしようぜ!」
大量のメダルを移動させて、台に陣取る私達。
やはり、人気はない。
ガラスのケースの向こうで台が動いていて、そこにメダルを投下して、押し出してメダルを落としていく。
なんか、でっかいメダルのタワーみたいなのも設置されてるけど。
まあちょっとは、この大量のメダルを消費出来るだろう。
.......コツン
........コツン
地味なようで、真剣にメダルを投下する。
メダルさえあれば、これ没頭で来るな。
ジャラジャラジャラ。
カップに入ったメダルを手で漁る音だけ。
みんな無口になっていた。
続く