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曇りがちの文化祭




文化祭当日。

空っとしたいつもの夏日よりに比べると、空気は湿っている。

晴れて欲しかったけど、曇り空で少し降りそうだ。


昨晩の文化祭の準備は、夜まで続いた。

徹夜かな?

と思ったけど、8時には生徒は帰された。

学校で泊まりやってみたかったなー。

そして、アンナ先輩と輝さんと3人で帰路についた。

あれ以来アンナ先輩は、何かと気にかけて走研を覗いてくれるのだった。

あれ以来.......。

京子ちゃんは、どうしてるだろう?

ふと、時々思い出す。

唯一の後輩を。

ああ、今日の文化祭には花知華先輩も来るそうだ。

また、走研で予想対決乱入かな。

それも頭に入れとかないと。



「おひいさん開店ですわ」



輝さん、バイトじゃないんだから。

だけど10時を回ったころ、お客さんの生徒が入ってきた。

うん、なんだかソワソワしてきたな。

この感覚やっぱり好きだな。

模擬店のメンバーは交代制で、制服にエプロン姿。

男女関係無しに。

走研の部室の方は、展示だけで無人状態だ。

予想対決のイベントは去年と同じく午後から。

それまではクラスの模擬店で働いてからだ。



「いらっしゃいませ」



教室でこの言葉使うの、なんか違和感あるな。

エプロンもなんかこう......。

落ち着かない感じがする。



「愛らしいですわね」



私のモジモジとした所作を輝さんに看破される。

.......!!

それが一番効いた。

いけない、いけない。

私はバイトしていた感覚を思い出して、



「チョコバナナクレープ1、コーラ1入りま~す」



「はい!ありがとうございます!」



ちょっと大きめに声を張って、オーダーをこなした。



──あれから2時間。お客さんで賑わう教室。

結構な盛況ぶりだった。

ちょうどお昼になる頃。

今が丁度山場なんだけど......。



「おつー。代わるぜ?行ってきなよ2人とも」


「後は、私と夏海がやるわ」



午前中入ってなかった夏海と見文が、交代する。

2人ともなんか血色いいな。

ツヤツヤした顔して、楽しかったんだろう。



「おひいさん♪参りましょう」



輝さんと、エプロンを外して教室を出る。

文化祭の店を巡ろう。

1年の時を思い出した。



「そういや去年、花知華先輩のお化け屋敷行ったなあ。覚えてる?輝さん」



「ええ、忘れませんとも。あの色情ゾンビ」



輝さんが冷たい目をした。

思い出話をしようとしたのにヤブヘビだった!



「い、いやあ~そんな事もあったね!」



「あの先輩は、あの時も、あの時も。スキンシップにしては度が過ぎていて......」



ああっ!

輝さんの変なスイッチオンに!



「て、輝さん。付き合ってからの初めての文化祭だね?」



「......!!心得ました、おひいさん!去年以上の思い出を作って、乗り越えます!」



「う、うん。まあ、いいや。よし!輝さん片っ端に巡ろう!」



目についた所から、焼きそば、たこ焼き、はし巻き、お好み焼きと、はしごした。

そして、本命のパンケーキ。



「......ああ!生クリームの甘味!」



.......って、越えれてないよ!!

去年と同じ事してるよ!

ループでデジャブだよ!


はっ!

と、パンケーキを貪る手を止める私達。

そこに、1人の乙女の忍び笑いが聞こえた。



「クククッ......!元気そうだな塚輝!」



『花知華先輩!!』



嵐な人がやって来た。




続く









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