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現代病床雨月物語    第三十二話 「依怙地巡礼(その一)」

作者: 秋山 雪舟

私は、二〇一六年の左脇側のリンパ節の切除手術と高熱による約一ヶ月の入院。そして十二月の痔瘻じろうの手術など人生の転機に直面していました。その二〇一六年の年末に小規模な身辺整理=断捨離をしました。その時、忘れていた物がたまたま出て来たのです。それは十五年程前に私が西国巡礼で訪れた大阪の四天王寺の御宝印(御朱印)場の横で販売されていた一冊の本でした。その題名は「近畿三十六不動尊霊場案内(古寺顕彰会刊)」で、初版は昭和五十五年七月二十三日で私が手にしたのが第五版の平成四年六月一日のものでした。私は、その本に印刷された不動尊(黄不動)の絵が何とも気になり手に取ってながめていました。その本は大きさも厚さもちょうど手になじみ、購入を決めました。値段も思った以上に安価だったことを覚えています。その本が二〇一六年の年末の身辺整理=断捨離の時に十五年以上の時を経て私の目の前に現れたのです。私は手に取りペラペラとページをめくりながめていました。その後に「はじめに」の項を読み始めました。そこにはこう書かれていました。少し長いですが。『「お不動さんて、神さんでっか、仏さんでっか」私はよくこんな質問を受けることがあります。不動尊(不動明王)は仏様であり、大日如来の化身であります。仏法では、仏陀(如来)は、形や思想を超越し、すべてを包容する完全無欠なもので、我々に見えてくる姿としては、円満で崇高な完成されたあの如来さまの姿として現れるのであります。仏陀が……慈悲に満ちた実にやさしいお姿で現れた場合が、菩薩様であり、更に、……強化救済しようとして現れたお姿が、あの明王の姿であります。このように仏陀は、その段階によって、如来―菩薩―明王と、姿を変えて我々の前に現れるのです。そして、その中心は、大日如来、般若菩薩、不動明王であります。……。

 霊場の数については、当初、お不動様の縁日の二十八日を考えて、……進んだのでありますが、結局我々人間の基本的煩悩三十六支を、三十六ヵ所の寺にお参りすることによって消除し、幸福を将来するために、また不動尊の眷属三十六童子に因んで、三十六ヵ所になったのであります。

……仏教では初七日までは、お不動様によってお導きされることになっているのであります。

皆様方が、お不動様と御縁を結び、難を除き、福を招き、自然と古文化財に接し、安らぎと、潤いと、正しい活力を得られますよう、お祈りいたします。』と書いてありました。

私は、この本を手にしたときは四国八十八(霊場)箇所を終えた約三年後であり、また西国三十三(観音)所巡礼の途中でしたので

西国三十三(観音)所巡礼が終わってからまた巡礼しようと思って購入したのでした。

 しかし、この事を忘れて本もどこかにしまってわからなくなっていたのです。それが二〇一六年の年末に出てきたのです。私は、二〇一七年の春ごろから巡礼を始めようと思っていました。ところが二〇一七年の春は減り続けていた血小板がとうとう一万近くになり「特発性血小板減少性紫斑病」の難病治療の為に一ヶ月半ほど入院することになってしまいました。結局、私がこの「近畿三十六不動尊巡礼」を始めたのは、二〇一七年の夏からになりました。

 私は、病気(難病)をしてからの巡礼なので今までとは違う気持ちで行いました。それは御宝印も何も残さずそこに行き(生き)ただただ手を合わせて「難病平癒の祈願」だけをしようと決意しました。今回の巡礼は自分でも「依怙地」なほど無理をせず、あせらず、自然体で、自分の空き時間を利用して足を運びました。……。


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