急襲
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翌日、選ばれた四名と生徒達で作戦会議を行うとのことで三階の会議室に梟夜は来ていた。
会議室はテーブルが丸になっており、そこにイスが並べられている。
先生達が左からの全ての席を奪い、他の四席を順番に拓也、梟夜、優花、叶の順番だ。
叶の隣には校長が座っている。
作戦会議が始まった。
「さて、今回の黒い三日月との戦いにおいて皆の意見を聞きたい。」
校長が言うと、一人が手をあげた。それは拓也だ。拓也は白髪でメガネを掛けている短髪少年だ。ちなみにこの学校の生徒会長だ。
「今回、相手はこの間倒したあの男がいることから強力な兵器を使ってくると考えます。そのためまずはその対策を考えるべきかと。」
確かに、あのナルシスト男がいる場合その兵器が組織のために使われていたと考えるのが無難だろう。
すると今度は叶が手を挙げる。
「なら優花さんに任せたらどうでしょう?」
優花に優雅にパス。
叶も白髪だがロングヘアーのお淑やかな人物だ。
「な、私ですか!?」
優雅は赤寄りの茶髪の短めのポニーテールで身長が小さい。
「ふむ、なんでそう思うのかね?」
叶が疑問に答える。
「それは彼女のレグロムが錬金術だからです。」
「ほう。それで壁の防御を作って化学兵器を守ると。」
「はい。」
すると、優花が声を出した。
「あのー凄く言いにくいんですけど…私の錬金術はエネルギーの消費がかなり大きいんです。なので大きな壁は作れても、それも途中で途切れてしまうかと…」
すると叶は分かっているわと反応する。
「そのために私がいるのよ。私のレグロムはハイヒール。回復系のレグロムよ。私のレグロムは回復する速度も速いしキャヴァロンの消費が少ないわ。切れたら私がなんとかするわ。」
「なるほどそれなら、なんとかなるな。」
拓也がそう言って頷く。
話し合いはどんどんと続いていった。たまに梟夜が意見を入れているのだが、梟夜の意見が異様に採用される。それは外見の問題ではない。単純に一番的確だからだ。
そして、梟夜もかなり馴染み、作戦のある程度の構図は出来上がった。
「うむ、ここまで出来れば今日は良いの。よし、今日はこれにてかいさ…」
知が解散と言おうとした瞬間に町で大きな爆発が起こった。
「なんだ!何事だ!」
剛は大きい声を立てて怒鳴ると女の人が入ってくる。
「大変です!町が黒の三日月に襲撃されています!」
「何!黒の三日月だと!」
「しかし、町に手を出すなど書かれてないです!」
「しかも予定より何日も早いぞ!」
先生達は約束は守るものだと思っていたらしくそれがどうやら仇となったようだ。
先生達は怒り心頭している。
しかしそれは先輩三人一緒。勿論梟夜も同じだった。いや、むしろ彼の方が怒っている。
梟夜は約束はしっかりと守る男。更には、極悪人が許せず理不尽に命を奪う者が許せなかった。
黒の三日月はその全てを満たした。
梟夜は怒りに放出する。
その殺気に皆が震える。
梟夜は落ち着きを取り戻し殺気を抑えると校長が話し出した。
「これより予定より早く黒の三日月を潰す!ここにいる者は剛先生について行け!花先生は三年生を連れて町に来い!」
「了解です!」
「分かりました。」
指示された二人が承諾の声を発する。
「私はここにいる二年と一年を待機させるよう指示する!蒲田先生共に頼む!」
「はい!」
さすが校長といった姿を見て、生徒梟夜達は町へ向かった。
門の前まで走っているとき、梟夜は生徒会長の拓也に声をかけられる。
「先程の殺気、あれは凄かったな。一年生とは思えないな。」
「そうですか?」
とぼけてみせる。が、
「あれは猛者にしか出せない殺気だ。」
「そうですか…」
どうやら誤魔化す事は出来ないらしい。殺気を放出してしまったことに今更後悔する梟夜。
しかしそんな後悔をする必要などないのだ。あの殺気は多くの理不尽に対して怒って出てきたものだ。理不尽に人を奪っていい理由などないのだ。
しかし、こんな時にも梟夜の鈍感スキルが発動されてしまい自分があの殺気を出してその事に皆が引いてしまっていると思っていたのだ。
そんな彼の心情を察したのか拓也は梟夜の額にデコピンした。
「全く、自信を持て。あの殺気を出して怒る姿は確かに怖かったが同時にたくましくも感じたぞ?」
そうですか?と言わんばかりの反応をすると、女子二人も肯定した。
「あの姿は格好良かったですよ。」
「うん!凄くかっこよかったよ!」
褒められた事に照れ、同時に自信を持ったのか、顔がほんの少し勇ましくなっていた。照れは頑張ってポーカーフェイスで斯くしていたが。梟夜は先輩三人に言った。
「絶対にあのクズ共をぶちのめしてやりましょう。」
「ああ、もちろんだ。」
「ええ、もちろんです。」
「もちろんだよ!」
更に距離を近めあって四人と先生達は町へと更に進んでいった。
∞∞∞∞
烏丸高校では待機命令を出しており、皆それぞれクラスで動かずにいた。
「あいつ大丈夫かなぁ…」
修羅木が不安を口にする。
するとグループの皆は言った。
「あいつは強いから大丈夫だぜ!」
「そうだよ!心配する必要なんてないさ!」
「うん。皆で帰りを待とう!」
「うんうん!」
「そうしよ!」
「皆…」
修羅木は自分が馬鹿だったと反省する。
皆と共にあいつの帰りを待とうと選択した。
そう、心配すべきは梟夜ではなく自分達なのだ。
修羅木がふと、窓を見ると学校の門に黒い三日月の旗を掲げた軍団が攻めてきていた。
∞∞∞∞
一方、梟夜達は焼け野原となってしまった町を走っていた。
「皆!早く避難しろー!」
拓也が声を張り上げて声を出す。
その統率力はさすが生徒会長といったところか。
ある先生が水で火を消し。
叶は皆を回復させ、優花は避難所を錬金術で確保していた。
梟夜は何も出来ない。
そんな自分が憎いと梟夜は歯ぎしりする。
すると先生達が声を上げていた。
「おーい!誰か手伝ってくれー!」
梟夜もそこに向かうと沢山の瓦礫が積もっておりその隙間から中学生らしき少女と小学生の少年が見えた。
どうやら隙間が狭くまた、瓦礫が重くて持ち上げられないため動けないでいた。
その瓦礫をみて、梟夜は動いた。
どけて下さいと先生達を退かし瓦礫を片手で掴んでみればそれをヒョイッと持ち上げた。二人が瓦礫から出て来た。
皆が唖然としていた。
目玉が飛び出ている人もいる。
そんな光景を見てると救出された二人がお礼を言いに来た。
「「ありがとうございました!」」
梟夜は笑って気にすんな。と言ってやった。が、梟夜の心情は複雑だった。そう、彼にとってはこんなモノ当たり前の力。そのため、自分自身に自信を与えるわけではない。
もっとしっかりとしないと。沢山の人を守れるようにしないと。
そんな気持ちで一杯なのだった。
「それではここから各自で動け!人を見つけ次第ここに運んで来るように!」
皆が別れて別行動を取る。
梟夜はすぐに走り出して人を探し始める、がすぐに人に会った。
自分が最も怒っていた黒の三日月の首領 黒川黒久に。
∞∞∞∞
拓也が走っていると拓也に瓦礫が投げられる。
拓也はその瓦礫をレグロムを使って破壊する。
瓦礫を粉々にすると瓦礫が飛んできた方向を見る。
そこにいたのは黒の三日月ナンバーツー肉塊結斗だった。
∞∞∞∞
烏丸高校。昇降口で大きな音が鳴り響く。
その音に学校の皆が反応した。その反応は同時に恐怖を引き起こす。
入ってきた男は黒の三日月ナンバーフォー真田作弥だった。
次回もよろしくお願いします。