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ルナリアは闇夜に咲き誇る  作者: 暁 乱々
3.とっておきの魔法、見せてあげる
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3.4.1 暗闇の森へ

 次の日の夕方。授業が終わると、ルナリアは走って教室を飛び出しました。


 その後ろから生徒たちが追いかけます。


「今日こそあいつを目覚めさせてやろう」

「またネズミに変えようか」

「いや、こんどはカエルなんかどう?」

「いやいや、いっそムカデにしてしまえばいいのでは。そのほうが刺激が大きかろう」


 いじわるな生徒たちがわざとらしく大声で話します。ときおりルナリアを指さし、杖もちらつかせます。


 ルナリアはひたすら逃げます。自室へ行こうにも寮の入口はふさがれていましたし、ノルン先生の部屋も寮の五階からしか行き方を知りません。そもそも昨日の件で、ルナリアはあまり先生に会いたいと思わなくなりました。


 もう学校に逃げ場はありません。ルナリアは校舎を飛び出して森の中へ入っていきます。


 ここの生徒はあまり森に入りません。夜より暗く不気味ですし、森の獣は魔法を嫌っているので、魔法の光を放つだけでも襲われてしまうのです。ルナリアに優しくしてくれた熊や猪も、普通の魔法使いなら牙をむくでしょう。


 それに昨日、ティランナ先生が(おおかみ)()まれたばかり。それもとんでもなく巨大な化け狼だそうです。みんな森に入らないよう注意されていました。


 森の奥へ進むごとに、黒い葉っぱが太陽の光を隠していきます。気味の悪い湿っぽさもだんだん強くなります。


 ルナリアを追う生徒たちが一人、また一人減りました。辺りが宵の暗さになったとき、とうとう最後の一人がいなくなりました。


「せいぜい、獣の餌になるといい」

 そう言い放った生徒の姿はもう見えません。


 ルナリアは夜目がききます。でもどんなにキョロキョロ見回しても、人の姿はありませんでした。

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