出来損ないの王族誕生 第1話
俺は目を覚ますと見覚えのない天井を見ていた。その天井はとても豪華でシャンデリアを派手に飾り、素人が見ても分かるくらいな絵が描かれていた。
にしてもさっきからなんか泣き声がうっさいな~。
しばらく待っても泣き止まなかったので辺りを見回してみた。するとなにか夫婦らしき人たちの夫が神父(神父をみたことはないが)みたいな人になにやら怒鳴り付けていて、妻の方はこの世の終わりのような顔をしていた。
と言うかあの夫婦服ゴージャス過ぎんだろ・・・
で本題に戻るが泣いてるような人はいなかった。
正確にはゴージャス夫婦の妻の方が泣いていたが、俺がうるさいと思っている泣き声は、赤ん坊のような声だから違う。
ん? ちょっと待った‼
なに冷静になってんの一番最初の疑問点を忘れてるよ!
ここどこだし⁉
落ち着いて考えよう。
俺は齋藤 慎二 中学二年 よし覚えている。
で、俺は屋上で寝て・・・
ああそうだった、滅茶苦茶怪しいやつと話してたんだ。
話のような話はしてないけど、
そういえばあのやろう
『お前はもう死んでいる』とか
『新たな世界で頑張ってください。』
とかいっていたはず。
・・・自分でいっといてなんだけどなんかすごい悲しくなってきた。
まぁいいや、それよりもしあいつの言っていることが本当なら・・・
少なくともここは地球ではない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺が生まれてきてから約1週間が経過した。
そしてその間に色々分かったことと確信したことがある
まずはここは本当に地球ではなかったことが分かった。
・・・いや誰だって超絶怪しいやつのいうことはいきなり信じられないだろ。
色々理由はあるが、主に3つある。
1つ目は俺はかなりの家柄に生まれたらしく、生後二日目にして俺の専用メイド(お世話係)ができた。
そしてそのメイドには、なんと猫耳としっぽがついていた。最初見たときはコスプレかと思った。
その後、ここは異世界の可能性が高いことを思いだし、あわてはしなかったが、さすがにそのまま信じることは出来なかった。
そこで俺はそのメイドに手を近づけてさわろうとしたところ、メイドさんが自ら差し出してくれたのだ❗
「~~~~~~。 ~~~~~~~~~~~?」
うん、なに言っているかわからないが。
俺も最初はラノベ知識でなんかとても大事な人しかさわれないと思っていたので、自分からさわろうとしたにも関わらずちょっとびっくりしてしまった。
結果的に雰囲気でまぁ大丈夫なのだろうと判断し、以降さわり続けてる。
もう分かっていると思うが、ちゃんと猫耳は根元からあって動いていたので本物だ。
万に一つの可能性でメイドさんが自分に気を許しているかもしれないが。
まぁ生まれて1週間位しかたってない餓鬼にそんな感情は持てないだろう。
ちなみにしっぽは触らせてもらえなかった。
さわろうとするとうまい具合に避けられた。
だが、避けるときなめらかにしっぽが動いていたので本物だろう。
で、二つ目は生後四日目のことだった。
寝ている時に俺は上に出ていた割れ物を落としてしまったのだ。
すると次の瞬間地球ではあり得ないことが起きたのだ。
なんといきなり猫耳メイドが目の前に現れたのだ。
そしてその手には食器が有ったのだ!
つまり〔俺が見えないスピードで食器が落ちる前に拾った〕ということになる。
いくら赤ん坊の俺でもそれが例えオリンピック選手でも、見ることはできる。
猫耳メイドはオリンピック選手を平気で越える身体能力をもつということになる。
また、その後がとても驚いた顔をすると、なぜか猫耳メイドは悲しい顔をしていた。
最後に三つ目は生後六日目の話だ。
俺は起きる時に寝ぼけてしまった。前世の感覚でベッドから飛び降りてしまった。
その事に気づいたのは意識がなくなった後のことだった。
「~~~~‼~~~~‼~~~~‼~~~~~~~‼」
誰かの叫ぶ声で眼が覚めた。なんだ猫耳メイドか。
俺はその瞬間何が起きたか思い出した。
しかし、同時に頭がとても痛いことにも気づいた。
俺が頭を抱えると、猫耳メイドは意識を取り戻したことで安堵をし、俺の頭を心配してくれた。
俺が大丈夫だとジェスチャーで伝えようとすると、いきなりだきかかえて廊下を挟んで向かい側にある部屋に飛び込んだ。
「~~~~~~~~?」
相変わらず何を言っているか分からなかったが、目の前の美人さんになにかを説明していた。
すると、美人さんがいきなり俺の頭に触れてきて、
【~~~~~~】
なんか言った。(この時点では俺は言葉を理解していないのでそもそも魔法だと分からなかった)
次の瞬間、俺の頭が一瞬輝いたのだ。
さらに、頭の痛みがみるみるなくなっていった。
俺は目を輝かせこれが魔法だと確信した。
その後、二人はなにか話し合っていたが俺の顔を見ると食器騒動のメイドのような悲しい顔をしていた。
それ以外の理由もあるがとりあえずは
リアル猫耳&しっぽ
あり得ない運動神経
魔法の実在
の三つによりここが異世界だと確信した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺が生まれてから1ヶ月がたった。
言葉も完全にじゃないが大部理解できるようになった。
「ぼっちゃまさま。 食事の準備ができましたよ~。」
言っておくが、完全に理解はできてない。これは勝手に想像力で補っているだけだ。
あと名前で呼ばれないのはあくまで嫌われているのではなく、生後3ヶ月目の時に名前付けの儀式みたいなのがあるらしい。
なにかお題みたいなのが出されて、それをクリアすると名前が付けられる。
3ヶ月目でクリアできないと次は生後6ヶ月になりそれでもできないと生後1年になる。それ以降は1年ごとに行われる。
ちなみにお題のレベルは全て同じらしく、普通は1才か2才にできるらしい。
で話は戻る
「ばぶー」
・・・・上手く伝わらないがそれなりに赤ん坊のまねはできてると思っている。
俺がハイハイしならそっちに向かっていくと
「本当にこっちにきたー!やっぱ私の言葉理解して・・るわけないか。まだ生まれて1ヶ月なんだから
まぁそれでもハイハイ自体はもうできてるんだから、優秀な子どもになるだろうな~
“あれ”じゃなければね」
最近は毎回このようなことを言っている。
だから俺は“あれ”が気になっているのだ。
いつも明るいティアが“あれ”の話になるたびに暗くなるのだ。
ちなみにティアは猫耳メイドのことだ。
本名はティアリア・フォート・フィアスという。
最近は親バカ感が増している気がする。
この世界の名前についてだが、大体は地球と一緒だ。
しかし、この世界の名前は真ん中か後ろに自分が所属している家名か組織名を置く。
つまり 自分の名前・所属名・自分の家名 となる。
そうすることによって
「誰だテメー」「そうだな、教えてやってもいいだろう私の名前はーーーーーーだ。」「なに⁉あの組織所属なのか!」
が、出来るようになるのだ!
…それはおいといて、ここ1ヶ月で俺が出来るようになったことは、単語レベルで言語を理解したこととハイハイを出来るようになり、名前のことを知った。
俺は自己満足にひたっていると、ティアがおれにどって爆弾発言をした。
「公の場で言ったら罰せられるだろうけど、
この子が『王』になるのを支持する人っていないだろうなぁ。」
・・・・今こいつ何て言った?