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俺と天使のワンルーム生活  作者: さとね
第一章「俺と天使の四日間」
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第4話「俺と天使の」その1

 心を震わす、声が響いた。


 魂を奮う、声が聞こえた。


 意識が精神世界から浮上し、視界が再び移り変わる。そして、現実の、日常の世界に佐種司は帰郷する。


 意識が戻ったばかりで視界がはっきりしない。音も遠くから聞こえるように感じる。


 それでも、すぐ近くに感じる。おぼろげな視界でも、確かな存在が隣にいることを。


 弱々しくもはっきりとした声で、司は声を出す。


「ただいま、片穂」


「はい。おかえりなさい」


 優しく、天使は司に笑いかける。


 現実世界では片穂の治療が始まってからほんの十秒ほどしか経過しておらず、導華とアザゼルの戦いは、今も尚続いていた。


 漆黒の翼を纏う悪魔は闇を翔ける鴉のように導華に襲いかかる。


 その中、悪魔アザゼルが振るう【鴉陰あいん太刀たち】を、導華は躱し、往なし、ほんの少しの隙間に、打撃を打ち込んでいく。


 その攻撃の応酬の合間に、導華は司が命が繋がったことを感知する。


「どうやら、上手くいったようじゃのう」


「ほう。あのガキは助かったようだな。なんとも運の強い奴だ」


 アザゼルの言葉を聞いた導華は昔に交わした会話を思い出し、微かに口角を上げ、かつての友人が言った言葉を復唱するように、導華は言う。


「運なんて軽いもんじゃないわ。あの男はそういう運命の元に生まれておるんじゃ。こんな所でくたばるなんて、ありえんわ」


「運命、か。なかなか、面白いことを言う。ただの人間が、そんな運命を背負いきれるか見てみたいものだ」


 その言葉と共に、天使と悪魔は互いに距離を取る。少しばかりの戦いの隙間。その少しの時間で、二人は片穂と司の行方を、眺める。


 視線の先で倒れている司の腹部の傷は完全に怪我をする前の状態に戻っている。しかし、溢れ出た血液はそのままで、司の顔色は青白く、生気は薄く感じられる。


 司と片穂の『契約』は既に完了している。後は、片穂の力を借りて立ち上がるのみ。


 未だ瀕死の体で、司は片穂の手を取る。その手を片穂は優しく握り返す。


「片穂」


「はい」


 佐種司は、伝える。自分の決意を。守るという意思を。


 共に歩き続けるという、誓いを。


「戦おう。一緒に」



 笑顔のまま片穂は頷き、想いを伝える。


 共に支え合い、隣を歩き続けるという意思を。


「はい。私の力、使ってください」


 声を発すると同時に、片穂の体が輝き始める。


 その姿を見た導華は片穂と司の現状を理解する。


「そうか。その道を選んだか、片穂」


 輝きを続ける天羽片穂の体が、雪のような粒状の光となり、司を覆い始める。少しづつ、天使という存在が佐種司の体へと侵入し、一体化していく。


 命が、満ちる。力が、溢れる。自信が、込み上げる。


 神々しい白光を身に纏い、司は立ち上がる。愛する人を、守るために。


 古き約束を、新しき誓いを、果たすために。


 片穂と同じように、司の身に纏う衣は純白に変化する。その衣は例えるならば騎士服に近い。そしてその上からガウンを羽織っており、人間離れした端厳さがみられる。


 そして、天使化した片穂と同様に、胸の辺りには青々としたサファイアが煌めいている。


 そこまでは現代文化のコスプレでもよく見られる姿。しかし、下界の物とは完全に別次元であると一瞬で理解ができるほど圧倒的な存在感を示すのはその背中に生えた白銀の翼である。


 瞭然とした天使の特徴である翼と共に、司は凛々しく佇む。


ほんの数秒前まで瀕死だった人間が天使カホエルとの『契約』により、天使の力を取り込み、一時的ではあるが、天使そのものとなった。


 致命的だった大量出血は、天使の力による自己再生で完全に補われており、司の状態は十全である。


 白く輝く天使となった司は自分の体をじっと見つめる。


「これが、天使化……」


 今、自分の体を形作る肉体が人間とは別のものであることがはっきりと分かる。


 探るように自分の体を観察していると、心の中に声が響いた。


『司さん! 無事でよかったです!』


「か、片穂⁉︎ どこにいるんだ⁉︎」


『今、私は司さんの中に存在しています。声に出さなくても、心の中で会話が出来ますよ』


 言われるままに、司は自分の心の中で他人と会話をするという不思議な行為をぎこちなく行う。


 『こ、こういうことか……?』


 『そうです! 理解が早くて助かります!』


 『契約』により司と同化した片穂は形作る体こそ無いものの、司の中に存在している。そのため、意思疎通には肉声は必要なく、心内での会話で事足りるのである。


『それにしても、本当に俺が天使になっちまうなんてな』


『私も、こんなことになるんて予想外でした。でも、これでようやくアザゼルと対等に戦えるはずです』


『そんなにも契約による天使化っていうのは重要なのか?』


 導華でも苦戦するような悪魔と戦うのに、なぜ司が天使化することが必要になるのかが理解できず、司は問いかける。


『はい。元々私たち天使は下界の存在ではありません。なので、天使として下界で存在するためにはそれだけで天使の力を使うことになるため、力の制御が難しくなる上に、微量ながら常時外に力を出し続けてしまっています』


 ただでさえ大き過ぎる力を使いこなせるほどの技術を持たない片穂が、さらに天使化によって別方面にまで意識の集中を分割してしまっては、力を十全に使うことなどできるわけがなかった。


『それを俺が天使になることで解決するのか?』


 人間を器にした天使化ということは、つまりは天使が外に避けなかった意識を全て内部へ向け、さらに通常、外に放出してしまう力を全て内部に閉じ込めることが出来るのだ。


 天使が自らの体で戦うということは、例えるならばロボットと操縦士を同時に行っている状態。それが操縦士だけとなれば、得られるメリットは膨大である。


『はい! 不器用な私でも、全ての意識を制御に回せるのなら全てを使いこなせるはずです!』


『片穂が力を使いこなせるのはいいんだけどさ、肝心の俺の方の戦い方が全く分からないんだ。俺、今まで戦ったことないからさ』


 天使化したと言えども、佐種司に戦闘経験などない。戦い方を熟知している導華でさえ苦戦したのだ。自分がアザゼルと互角に戦うイメージが司には無かった。


 そんな心配をする司に、片穂はさらに説明を加える。


『それは安心してください! 司さんが取り込み、身に纏っている天使の力は私、天使カホエルの力です。戦術も、技術も、全て司さんの物として備わっているはずです』


 戦闘技術においても、操縦士の例が適応する。操縦士の技量はそのままロボットにまで伝達される。つまり、技術などを含めた全ての天使の力が、そのまま契約者の力になるのだ。


『なるほど、それは安心だな。勇気が出てきたよ』


 そう言って、悪魔アザゼルの前に歩きだす。


 圧倒的な威圧感。ただ、視線が合うだけでピリピリと体を刺してくるような感覚が司を襲う。


 悪魔アザゼルの視界に映るのは佐種司ただ一人。それを確認した導華は司の元へ戻ってくる。


「司! 片穂! 無事じゃったか!」


 導華の声に、片穂と司は返事をする。


『お姉ちゃん! なんとか大丈夫だったよ!』


「ええ。何とか大丈夫でした」


 天使化した司を見つめながら、導華は言葉に間隔を取りながら問いかける。


「『契約』をした、ということは………思い出したんじゃな」


 導華の目をしっかりと見つめて、司は口を開く。


「はい。全て、思い出しました」


「そうか。お主には色々と迷惑をかけた。すまんの」


「気にしないでください。今は、あいつを倒すことだけを考えましょう」


 導華の謝罪なんて必要ない。誰も悪くないのだから。


 それよりも、今はこの場を乗り切る方法を見つけなければ。


「すまんが、ワシはもうガス欠じゃ。あいつと同じ速さでは戦えん。微力ながら、後方支援をさせてもらおう」


「大丈夫です。俺が、全部守りますから」


 司はアザゼルを鋭く見つめる。


 戦う術は、分かっている。片穂の力が、体に馴染んでいく感覚。そして司は口を開き、唱える。自らが戦うために必要な武器を顕現させる言葉を。


「【灮焔こうえんつるぎ】」


 その言葉と共に、司の右手に光が集まり、凝縮していく。その光は剣を形作り、そして片穂が使っていた剣が司の手中に出現する。


 神々しく黄金に輝く剣を、司は力強く握りしめる。


 そして、その剣先を悪魔へと向け、司は決意を声にする。


「もう、片穂も、導華さんも、誰も傷つけさせない。お前は、俺が、俺たちが倒す」


 その決意に満ちる瞳を眺め、アザゼルは堂々と言う。


「久しぶりに人間の天使化を見たな。名を聞こう」


「佐種、司だ」


 司が名を名乗った瞬間に、アザゼルの顔に明らかな動揺が見えた。先ほどとは打って変わって慌てた様子で、アザゼルはさらに問いかける。


「お前は今、『佐種』と名乗ったのか?」


 その問の真意が分からない司は、怪訝な顔をして返事をする。


「そうだ。それがどうしたんだ?」


「ふ……ふはははははははは!!!」


 突如笑い始めるアザゼルに、司は驚きを隠せない。初めて見る悪魔の愉快そうな表情に対して、司は声を上げる。


「な、何が面白い!」


「そうか。そういう訳か! 通りで天使や悪魔にここまで干渉できるわけだ。なるほど、これがお前の言っていた運命というやつか。面白い」


 アザゼルは司の問いには答えず、何かを納得したように一人声を出す。


 しかし、その納得に司は全く理解が出来ない。


「何を言っている!」


 アザゼルの笑みはいつの間にか消え、悪魔は司を突き放すように威圧感を放ち、言う。


「こっちの話だ。今はまだ、お前には関係ない」


「無駄話はそれくらいにしたらどうじゃ。お前もそんなことのためにここにいるわけではあるまい」


 導華の言葉を聞いたアザゼルは、少しだけ口角を上げる。


「そうだったな。では、早速お前たちを殺すとしよう」


「いくぞ。アザゼル」


「こい。全力を出させてくれ」


 足に、力を込める。天使と悪魔の間にはある程度の距離が空いているが、片穂の有り余る莫大な力を十全に使いこなせる今、そんな距離など無いに等しい。


 溜めこんだ力を解放し、司は地面を蹴る。


「はぁあ!」


 次の瞬間には、司はアザゼルの懐へ潜り込み、剣を振るう。


 体に剣が触れる直前に、アザゼルは反射的に剣を振り上げ防御をするが、不意を衝かれたため体制を保てず後方へ体が弾き飛ばされる。


「―――ッ!」


 吹き飛ばされながらもアザゼルは空中で体制を立て直し、司を見つめる。


「ほう。これは……」


 司の速さは導華の【軀癒くゆ天翔あまがけ】と同じか、それ以上の速さ。それは今までの片穂のスピードとは比べ物にならなかった。


 想像以上の速さに少しばかり動揺しているアザゼルに向かって、導華は笑みを浮かべながら、言う。


「知らんかったか? ワシの妹は、器さえあればワシなんかよりもずっと強いぞ」


 それを聞いたアザゼルの表情が悦に染まり、悪魔は薄笑いを浮かべながら口を開く。


「面白い! ならばこちらも本気を出そう!」


 アザゼルは自分の持っている剣からを手を離す。すると、直後、剣が黒い煙となって消滅した。


 そして、空になった両手をぶら下げると、ゆっくりと掌を開き、声を出す。


「顕現せよ。【鴉陰あいん双剣そうけん】」


 闇が、アザゼルを中心にして竜巻のように集まりだし、それら全てが両手へ凝縮されていく。その闇は二本の剣となり、アザゼルの両手に現れる。


 先ほどまでアザゼルが振るっていた【鴉陰之太刀】よりも細いが、その禍々しさは格段にそれを上回っている。


「二本目を出すのは十年ぶりだな。さぁ、楽しませてくれ。佐種司」


 明らかな力の上昇に、司と片穂は戸惑いを見せる。


「おいおい」


『これは……苦しい戦いになりそうですね』


 しかし、その戸惑いは瞬く間に消え失せ、二人は一歩前へ踏み出す。


「気合を入れるよ」


『はい。行きましょう』


 一人だったら、立ち止っていた。でも、二人なら、怖くない。戦える。


 司は剣を握りしめて、相手からの攻撃に対応出来るように少しだけ重心を下げる。


「ゆくぞ」


 悪魔の声ともに、戦いが再開する。そして次は、アザゼルの剣が司に襲いかかる。


 素早いながらも重い一撃を、司は剣で受け止めるが、想像以上の攻撃の威力に一瞬だけ隙ができる。


「ぐっ!」


 その隙を狙い澄ますかのように悪魔からの斬撃が繰り出される。


 振り下ろしが、回転切りが、薙ぎ払いが、突きが、休みなく暴風のように司を襲う。


 そして、アザゼルは今日一番の快楽に浸りながら剣を振り続ける。


「ふはははははは! そんなものか佐種司よ!」


 降りやまない攻撃の雨に、司は反撃する機会を見つけられない。むしろ、攻撃を防ぐことさえも困難である。


 そして、防戦一方の司の防御に、ほんの少し隙が生まれる。


 その隙めがけて、アザゼルは剣を振りおろして―――


「アザゼルよ。ワシのことを忘れては困るのぉ」


 後方支援に徹すると言っていた導華が声を発すると同時に、その手から光が溢れだし、武器を顕現させる。


 そしてその武器が形作られると、導華は狙いをアザゼル一点に定め、そして、放つ。


 光り輝く、黄金の矢を。


「射砕け。【破壊はかい光弓こうきゅう】」


 導華が矢を放つと、それは一筋の光線となり、アザゼルが剣を振り上げている右肩を射抜く。


 そして、一瞬のうちに光の矢はアザゼルの肩を貫き、流れ星のように世界に溶けていく。


 致命傷には程遠いが、アザゼルの猛攻を止めるのには充分過ぎる威力だった。


「ぐ、ぅうう!」


 司は、目の前で急にアザゼルが肩を手で押さえながら呻き声を上げたため、何があったのか理解が出来ていなかったが、振り返った先に煌めく弓を持っている導華を見て、現状を察する。


「導華さん!」


「司! 一旦退がれ!」


「は、はい!」


 導華の言葉で、司はアザゼルから距離を取り、導華の横まで戻る。


「大丈夫か?」


「なんとか、大丈夫です。それより、導華さんって武器使えたんですか?」


「もちろんじゃ。【軀癒くゆ天翔あまがけ】と併用は出来んがの」


 今まで司が見てきた導華は、常に素手で戦い続けていた。しかし、それは武器を『使えない』のではなく『使わない』のだ。


 さらに、導華の速さは戦闘の前線で充分に戦えるものなので、そもそも後方支援として弓を使う機会自体が存在し得なかっただけなのである。


 加えて、精密な力の制御が必要になる【軀癒之天翔】を使いながら、他のことに力を分配する余裕はない。しかし、それでも弓を使わずに敵を倒し続けてきたので、それを使わなかったのである。


 右肩から血を流しながらも、アザゼルの殺気は衰えず司を突き刺し続ける。


「ちっ。油断したか。だが、次は逃さんぞ。佐種司」


 押しつぶされるような圧力に、司は屈することなく前を向く。


「望むところだ! 片穂! 行けるか⁉︎」


『もちろんです! 私も気合を入れますよぉ!』


 司の心の中で、天使が決意の声を上げた。


 司は再びアザゼルへと視線を向ける。


 その視線で司の消えない闘志を感じ取ったアザゼルは、肩を押さえた手を離し、剣を構える。


「面白い。だが、恐らくそこまでの速さを手にするのは初めてではないのか? はたして、お前にそれが使いこなせるか?」


『もちろんです! ずっと、お姉ちゃんを見てきたんですから!』


 今も昔も、天羽導華は憧れだった。そして、姉の戦闘を一番近くで見続けてきたのだ。


 ずっと、姉に追いつくために努力をしてきたのだ。どうしてその速さに辿り着いて戸惑うことがあるだろうか。


 この速さは、片穂の、司の問題には全くならないのだ。


 そんな天使の声を聞いて、アザゼルは薄笑いを浮かべて口を開く。


「いいだろう。……来いッ!」


 もう一度司は地面を蹴り、アザゼルへと斬りかかる。


「うぉおらぁ!」


 アザゼルは片方で剣を受け止め、もう一方の剣で司を斬りつける。


「そんなものか! 佐種司ァ!」


 司も同様に剣で攻撃を防ぎ、剣を振り下ろす。


 その攻撃もアザゼルは剣で防ぐが、司は攻撃手を緩めない。


「まだまだァ!」


 そして、剣を頭上に掲げ、それを握る力を強める。


 輝く剣に光が集まり、さらなる光が剣に圧縮されていく。


 眩しいほどに剣が煌めく。そして、その剣を司は力一杯振り下ろす。


「喰らえッ! 【灮焔こうえん太刀たち】‼︎」


 剣から放出された光の斬撃が悪魔に向かって襲いかかる。


 しかし、悪魔は動じず、目を閉じて脱力をする。


 そして、手に持つ双剣を構え、呟く。


「【鴉陰あいんつばさ】」


 振り抜いた二本の剣から、司の技と同様に剣撃が飛び出す。まるで、一羽の鴉が闇夜を翔けるように。


 そしてその鴉は白く輝く【灮焔之太刀】と衝突する。


 ぶつかり合った剣が火花を散らすように、光と闇が勢いよく弾ける。


 それら相殺されるかと思われたが、司の放った攻撃は鴉に喰われ、勢いもそのままに司を襲う。


「ぐはっ!」


 強烈な一撃が、司を地面へと叩きつける。


『司さんッ!』


 アザゼルはゆっくりと司の前に降り、哀れむような目で司を見つめる。


「………興醒めだな。もう終わりだ。諦めろ」


 力の差が、違う。これだけやっても、攻撃がほとんど当たらない。


 自分は、この悪魔に勝てないのかもしれない。


 でも、それでも、


「………まるか」


「聞こえんな。もう一度言ってみろ」


 心の中の天使も、同じ気持ちだ。


 声が聞こえる。


 司に呼びかける、天使の声が。


 ゆっくりと、司は立ち上がる。


 そして、司も、心の中で叫ぶ片穂の声に重ねるように、言う。


 目の前に佇む絶望を、睨みつけて。



「『諦めて、たまるかぁあ‼︎』」



 二人は諦めない。止まらない。


 苦しくても、立ち止まらない。


 ずっと共に歩き続けると、心に決めたのだから。


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