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世界はいつも空色に染まる  作者: 三雲シュン
Ⅱ章 Sky Garden
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謎めく真相

二人が日中に目撃した謎の銃撃事件。その大体のあらましを瀬古さんは話し終えた。

時刻は同日午後七時過ぎ。僕、澪、玉樹さん、瀬古さん、そして石榑さんの五人で夕食の時。今日のメニューは澪特製カレーライスである。

しかし飯の最中に話すには刺激のあり過ぎる話でどうかとは思ったが…。


話を一通り聞き終えたのち、口を開いたのは玉樹さんだ。

「で、そのあとどうなったんだ?」


「ああ、担架を担いだロボ…SIRSだっけ?…が四台やってきて、二人は搬送されていったよ。てかあのロボってデザイン共通なんだな。前カフェで見たのと同じ白いのだった。」


「そうだよ。基本あれが主流型。ああでも画面のランプが緑なのが商業用や一般に普及してるやつで、赤いのが救急用とか治安維持のためのコントロールセンター直属ロボとか…、かな。」

石榑さんは説明する。


「へぇ…。」

「おい、それより今の話は冗談なんかじゃないんだろうな。マジでマジなのか?」

「……?勿論本当のことですけど…、どうかしました?」

石榑さんは何か解せない様子だったが、暫くして話し始めた。


「…このスカイガーデン、特に首都であるこの街、ティンダルは例のロボとオブジェに模された監視カメラによって、余すところなく徹底監視されているんだよ。したがって、この街でどんな犯罪を犯したとしても即刻SIRSに捕まるんだ。だからこの街で犯罪が発生することはまずない。最近だと…五年くらい前に病院を飛び出した精神異常者が通りで人を切り付ける、って事件が話題になったくらいで…それ以来事件らしい事件は起こっていないよ。」


そういえばそうだ。この街に「交番」的な施設は存在しないし、たびたび例のロボが街をうろついているのを見かける。


「おいおい、そんな街で拳銃を撃って重傷を負わせる…、って犯人は何を考えて…?」

「…それだけじゃないぜ。その被害者は濃紺のスーツだったんだよな。普通のとはちょっと違う。」

「ええ。」

「それでなおかつ拳銃を所持していた…。」

「本人のかどうかは分からないですけどね。」


「…恐らくその二人、コントロールセンター直属の治安維持部の人間だ。」

「…えっ?」


「この世界では君たちの過去世界と同様拳銃の所持は法で禁じられている。それが許されているのはコントロールセンターの一部の人間だけ。しかも濃紺のスーツを着ていたとなれば常識的に推理してそうなる。だがここでもう一つクエスチョン。基本的に町のパトロールはSIRSと監視カメラによって完全管理されているから、治安維持部の生身の人間が普段作業着で街をうろつくなんてあり得ない。俺も写真とかで見たことあるだけだから。」


「だとしたらやっぱおかしいよな…、傷害事件が発生した時点でおかしいのに、その被害者が何らかの職務中だったコントロールセンターの人間…。しかも彼らは銃で撃たれた…。ってことは…?」

瀬古さんは一人考えるように呟く。


「さらにさらにもう一点。」

「まだあるんですか?」


「この世界でのメディア…、君らの世界で言うテレビ放送や新聞とかになると思うんだけど…、それは例のコントロールセンターが配信する文書型のニュース速報のみなんだ。何度も言うけど、ここで事件が発生することなんてほぼ0に等しいからね。」

「…それで?」

「俺、午後からもサイトを何度かチェックしたけど、そんな事件が起こったってニュース、一切掲載されていなかった。」

「え?」

「この事件、コントロールセンターが深く関わっていそうだよ。」


「…それはつまり、コントロールセンターがこの件を隠蔽しようとしてる…、ってことですか?」

「…分からない。だがその可能性は高いと思う。」


この事件、単なる犯罪で片づけられるほど簡単なものではないようだ。このことは、今ここにいる皆が先刻の会話で悟っただろう。


「…でも、そんな監視の効く街なんだから、結局の所犯人はもう捕まっているんじゃないですか?」

玉樹さんは尋ねた。


「そう考えるのが当然だ。99パーセントそうだろうな。けど、捕まること分かってて犯罪を犯すバカもそうそういないだろ?だからその犯人の意図は何なのかってこと。一つに考えられるのは、犯人は何らかの精神異常者であること。もう一つの可能性としては…。」


石榑さんは数秒の間を置いて、こう言った。


「犯人が、この完璧に等しい監視網をくぐり抜けられるという自信がある場合だよ。」


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