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律渦は災禍  作者: sniper
第一部
16/27

見分けられる雰囲気

短いですが書いたので上げます。

継続の意思はある。完結の意思もあることの現れです。

「神楽さ。お前最近変だぞ」

「ん?あぁ、平戸か」

二限と三限の合間。移動教室のために席を立った俺に、丁度同じタイミングで廊下に出た平戸が話しかけてきた。

「俺が変なのなんて、今更だろう?」

「いや、そういうことじゃなくって……」

見知らぬ一年生数人と、肩が触れ合うような近さで擦れ違った。廊下でいつまでも立ち止まっていると邪魔になるな。

俺はまだ話を続けようとしている平戸を置いて歩き出す。奴もすぐに気付き、不満気な態度も見せずに足並みを揃えてきた。……俺が置いていこうとしたことに、気付いてないからだろうな。

「なんかさ。雰囲気が変わったんだよ」

「自分で言うのもなんだが、俺は割と雰囲気が不安定だぞ」

「それは単に情緒不安定なだけだと思うんすけど」

それだと俺が病気みたいじゃん。精神病には罹ってない筈―――律渦から伝染うつされない限り。

……精神病って、感染しないよね?

「俺は今のところ、お前の言っとることが理解出来てない。もっと要領良く話せ」

「それを神楽には言われたくないんすけど……」

文句はいいから早く言え。

「俺も上手くは言えないんだけど……まるで、神楽が別人みたいに感じることがあるんだよ。それもかなりはっきりと」

別人に感じる?

「……お前、そんなに俺のこと見てたの?」

「チゲェヨ!気持ち悪いこと言うな」

ただの冗談にそこまで反応してくれるお前が、俺は結構気に入ってるよ。

「多分、誰の目から見ても明らかだと思うよ」

そこまで言うか。…………。冗談を言ってるようには見えない。本気で俺が、そこまで変わったように見えてるのか?

「……いつから?」

「前の体育のとき」

あぁ……あのときか。俺がバスケットボールの時に、不注意で怪我しそうになったやつか。

「ふぅ……。話は解った」

「そうか」

俺の雰囲気が、まるで別人のようになるときがあるというのは解った。それが周囲に普通に気付かれるレベルのものであることも解った。そして、それが俺の無意識で起きていることも解った。

だが―――

「それで、俺にどうしろと?」

「は?」

「だから。それを俺に話して、どうしてほしいんだ?お前は」

傍からどう見られようと、実害が無い限り、今の俺にはどうでもいい。それに、俺はただ会話する機会が多いだけのこいつらに、心配や忠告を向けられることは望んでない。むしろ迷惑だ。

「俺がお前らに、無意識とはいえ迷惑をかけてるのなら謝ろう。だが、ただ気になったからというのなら、この話はもう二度としないでほしい。こちらが迷惑だ」

「っ…………」

基本的に、俺たちは徒党を組まない。止むを得ない場合は別とするが、個人で行動可能なときに群れを成すことは、今までも無かったし、これからも無いだろう。

それを、こいつは理解している筈だった。

「……スマンかった。俺が言うべきことじゃなかったな」

平戸は納得してくれた。

「で、話は変わるんだけど―――」

重くなっていた空気を吹き払うように、平戸が別の話題を提供してくる。こういう切り替えが早いのは、素直にすごいと思う。……しかもこいつの場合、前の話題を気にして話してるわけじゃないからなぁ。気遣いじゃなくで、嫌な話題をスッパリ意識から切り捨ててるってのがすごい。

結局、教室に入って別々の席へ着くまで、俺と平戸は平方関数の話題で盛り上がった。


俺は自席で授業開始を待ちながら、平戸の方に意識だけを向けた。

―――元来、あいつはお人好しだ。

気になった人には気軽に声はかけれるし、人から冗談半分で頼まれたことでも、大抵のことはやってくれる。責められてる人がいれば、素直に可哀想だからと話しかけたり。

俺とは違う人間だ。

だから―――

何で俺のスタンスが理解出来るのか、それが一番理解できない。

俺は平戸を意識から外しながら、自分の思考をそう締めくくった。

どうでしょう。彼の変化は、果たしでどう影響を及ぼすのか

及ぼさないのか

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