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タボちゃん  作者: こちょテル
小学生篇

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3/3

其のさん「タボちゃん、避暑地へ」

どんぶらこ、ドンぶらこ、と川の上流から大きな桃が流れてくることはなく、何の変哲もない手のひらサイズの桃が流れて来たとさ…


さて、皆様に1度聞いてみようではないか


今からこの桃を食べると、どんなことが起きると予想される?


若返る?一寸法師でも飛び出してくるのだろうか?


答えは否


腹を壊すに決まっているだろう


冗談はさておき、今から語るのは、エッセイ風小説である。


タボが見る、一見すると創作かと錯覚する出来事をご覧あれ。





タボは見てみたいのだ。


どこまで深く、地面を掘れるのかを


見てみたいのだ。

暑い日差しが差し込む今日この頃。


蒼い空には雲など、1つも見つからないような清々しい天気である。


いや、どこも清々しくはない。清々しいのはこの見てくれだけの空だけである。気持ちは晴れるが、気分は悪い。


?これでは僕が陰気臭いやつみたく思われるではないか。


弁明させてもらいたい。

「気持ちは晴れるが、気分は悪い」

は、実際に感じている。


だが、気分が悪いとは、蒸し暑く、今にも蒸せ返りそうなこの体調についてなのだ。


決して、天気が()いことが嫌いなわけではない。嫌っているのは、この気温なのである。


こんな独り言を…なに言っているのだろうか。暑さにあてられ、1人考えている自分を笑ってしまう。



「タボ、今日はもう終わっていいぞ。お疲れさん!!」


父さん…あなたは、どんなやり方をすればそんなに収穫できるんですか?


父さんの(かご)


いや、もはや(かご)だけでなく木箱にも詰められるくらいの桃を目の前に絶句する。


せっかくの休日に畑仕事も完璧にこなす姿は、いつ見ても敬服する。


少しは休んで欲しい。



いや


遊んで欲しいな。


ともかく、畑仕事も一段落したことだ。これから何をしようか悩ましいところである。


ふと、頭に思い描いた

「「はてなマーク」」

を言葉になおしてみた。


今は夏


つまり、北半球は夏だということである。


こちらが夏ということは、反対の南半球は今、冬なのではないのか。


数日前に父から教わった知識である。


今は夏なのに、地球の反対側では冬…本当だろうか。


地球は1つの空で繋がっている。


空が繋がっているというのは、同じではないのか?


同じではないのか…。


ふぅ


ここは悔しいが、同じではないと割りきるほか致し方ない…。


そんなことは、どうでもいい。


今、対処すべきはこの暑さから逃れる方法である。


どうすれば、冷やすことができる?


今から、川へ行くか?


いや、面倒臭い。


家の氷を使うか?


いや、母さんに怒鳴られる…。



地面だ…。


霧がかかった視界が晴れるような、心地いい高揚感に僕は包まれる。


いつか試してみたかった。


どこまで深く地面を掘れるのかを。


…となれば、そこの剣シャベを使うか。


少し場所を移動させ桃の木から離れたとこで実践する。もしも、木を傷つけたら…想像しただけで背筋がゾクリとザワつく。


もはや、これは簡易避暑なのでは?


いやいや、これからもっと冷たいところへ向かうのだから。

ここら辺だと迷惑かけないか…な。


勢いにまかせ、地面を掘り進める。案外、掘れるものなのだな。


よし


だいぶ、掘れたな。とりあえず、掘れたとこまで覗いてみるかな。


どれどれ


僕は、激しく後悔した。


確かに涼しくなったが、僕が生き埋めになっては元も子もない…。


厳密に弁解すると「生き埋め」といっても足だけを外に出している状況である。


だが今、自力で脱出できなくなっているので「生き埋め」という表現は適切なのである。


行動は適切ではないが…。


どうしたものか。頭を悩ますことだが、今は頭に血が昇ってきている。


頭が冴えてきてい…いや、冴えてこないな。


息も、苦しいな。まずいな…。


やばい


ヤバい。


人生最大の、山場を迎えているかもしれない。汗がとまらない。


足をバタつかせ、どうにか(もが)いてみる。



うん、無理だ。


僕もここまでか…。


まだまだ、やりたいことが沢山あったというのにまだまd…


「何してるの?にいちゃん」



ここは視点が変わったと言うべきなのか、私はタボの妹である。


今、目の前に足が2本地面から生えている。この光景を誰かに見て欲しいが、あいにく周りには誰もいない。


誰か、呼べばいいとお思いか?


そう思うのならば、あなた方は何も分かっていない。


こういうのは、素の日常で遭遇することに意義があるのだ。


わざわざ呼びにいき、これを見せたところで本来の面白さの半分も引き出すことは難しいだろう。


ふぅーん、どう調理しようか…悩ましい。


おっ、早速変化があった。


なになに、器用に足を使ってジェスチャーをしてるぞ。


"早く、引き上げろ"


にいちゃんが、ここで助けを求めるということは余程余裕がないのだろう。


大人しく引き上げとくか…悔しいが。


どれ、よっこらしょ。



たはぁー


ここで、また兄である僕に視点を移すぞ。危なく川を渡るとこだった…。


まぁ、あそこは確かにここよりかは寒いだろうな。


妙な納得感に包まれて家路につくz…。


くっ、さすがに見逃さないか妹よ。まず、その握りしめてる僕の腕を解放してくれ…頼む。


「にいちゃん、今日なにくれるの?」



「アイスクリームで…どうですか?」


言質をとった妹は、元気良く家へと駆けていった。


うん、命とアイス


天秤にかけるまでもない。アイス1つで救われたのならそれで良いだろう。


ほんとは良くないが、ここはいいだろう。


…いいだろう。


さっきは無かった飛行機雲が、綺麗な線を青のキャンバスいっぱいに引いていた。



今度は、大人しくアイスを食べていよう。


そう固く、心に誓うのだった。

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