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プロローグ
桜の花びらが舞う、暖かな春の昼下がり。
私――北条 奏は、ゲーム画面の中で、いつものようにキャラクターたちの恋路を静かに観察していた。
正直、現実世界の恋愛には興味がない。
駆け引きは苦手だし、そもそも選択肢のない恋愛なんて考えられない。
画面の中で幸せそうに笑うヒロイン。彼女を愛おしそうに抱きしめるイケメンたち。その微笑ましいやり取りを眺めているだけで十分幸せなのだから、何も問題はなかった。
ゲームのヒロインに自分を重ねることもない。あくまで第三者目線で、攻略キャラたちが幸せになるハッピーエンドを静かに見守るだけ。
なんて平和で、素敵な時間だろう。
――だが、そんな日常は、ほんの一瞬で崩れ落ちた。
♪ ピロン
聞き慣れた効果音が、スマートフォンから鳴った。
――好感度、上昇。
思わず画面を二度見する。
ありえない。今の操作は、ただのスキップだったはずだ。
それなのに、攻略キャラの一人が、ヒロインではなく――
画面の端、何も起こらないはずの場所を意味深に見つめている。
「……え?」
次の瞬間、画面が白く弾けた。
のんびり更新になると思いますが、ご興味のある方がいらっしゃいましたらお付き合いくださいませ。




