番外編「遅れてきた蜜月」
全てが片付いた後、私たちは南の島のヴィラで休暇を過ごしていた。
白い砂浜、青い海。
誰の視線も気にすることのない、完全なプライベート空間だ。
そして、その夜。
私は抑制剤を飲まなかった。
周期が来ていたのだ。
ベッドの上で、熱に浮かされながらレオを見上げる。
彼のブルーグレーの瞳が、情欲と愛情で濃く濁っている。
「……いいのか? 旭」
レオはまだ躊躇っていた。私が無理をしているのではないかと、最後まで気遣っているのだ。
私は汗ばんだ腕を伸ばし、彼の首に絡みついた。
「焦らさないでください。……あなたの子が欲しいんです」
その言葉が、最後の理性のタガを外した。
レオは野獣のような唸り声を上げ、私に覆いかぶさった。
痛みはなかった。あるのは、溶け合うような快楽と、魂が一つになるような充足感だけ。
彼の牙が、私の首筋――うなじにある腺を捉える。
「旭、俺の番に……俺だけのものに……!」
「はい、レオ……あなただけのものに……っ!」
鋭い痛みが走ると同時に、体の中に彼の全てが注ぎ込まれた。
視界が白く弾ける。
首筋に刻まれた噛み痕。それが、私たちが永遠に結ばれた証だった。
事後、波音を聞きながら、レオの腕の中でまどろむ。
「愛している、旭」
「私も愛しています、レオ」
幸せすぎて、怖くなるくらいだ。
でも、もう大丈夫。
私たちには、何度でもやり直せる愛があるのだから。




