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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を、今度こそ覆す―(現在物語を全話を丁寧に修正しています。180-189話修正、大幅に加筆しました。)  作者: くりょ
レイズになる

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レイズの暴走。

アノは目を伏せ、ゆっくりと言葉を紡いだ。


「その後……私とレイズ様、そしてメルェは――三人で過ごす時間が増えていきました」


時には笑い合い、時には喧嘩をして。

けれど、どんな瞬間もかけがえのないものだった。


「……今でも覚えています。三人で、肖像画を描いてもらった日のことを」

リアノの唇が、少しだけ震える。

「……それは、私にとっても、きっとレイズ様にとっても宝物でした」


けれど――幸せな時間は長くは続かなかった。


「ある時、メルェは……突然姿を消しました」


必死に探し回った。

だが、見つけた時にはもう……彼女は命を落としていた。


「――っ」

堪えきれず、リアノの声が少し震える。


「レイズ様は、その場で大声をあげて泣きました……。

 そして……あの方は……絶対に仇を討つと、誓ったのです」


イザベルは息を呑む。


リアノは続けた。

「メルェが亡くなったのは、アルバード家が管理していたある村での出来事でした。

 その理不尽な死に……レイズ様は怒りを抑えられず……」


あの日――少年だったレイズは、感情のままに暴れた。

それは子供の我儘などではなく、誰も止められないほどの、どうしようもない激情だった。


リアノの目には、今でもその光景が焼き付いている。


ほどなくして、屋敷の奥からリアノを呼ぶ声が響いた。


「……そろそろ仕事に戻らなくてはなりません」


リアノは深く一礼し、感情を押し隠した顔でその場を後にする。


月明かりの下にひとり残されたイザベルは、胸に手を当てて小さく息を吐いた。


(……メルェの死。レイズくんにとって、どれほどの影響を与えてしまったか……考えるまでもない)


レイズの心を歪めた過去。

彼を縛る傷跡。


それを想像するだけで、イザベルの胸は重く締め付けられた。


――けれど。


同時に、強烈な違和感が彼女の心に芽生えていた。


(……不自然なのよ)


メルェが亡くなった状況。

アルバード家に暮らす者なら、家紋や結界で「誰の庇護下にあるか」は一目でわかる。


「……たとえ魔族だったとしても」


その声は夜に溶けて消える。


「アルバード家に刃を向けるなんて、命知らずな真似をする人間……いえ、この世界でそんな愚か者はほとんどいない」


つまり――。


(メルェは……偶然ではなく、“人の手”で殺された)


そう考えずにはいられなかった。


イザベルは夜空を仰ぎ、眉を寄せる。


「……レイズくん。あなたの過去は、まだ終わっていないのかもしれない」


そう呟く声は、静かな夜風にさらわれていった。

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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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