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【悪役転生 レイズの過去をしる】続編のプロットができたので章を更新します。  作者: くりょ
新たな始まり

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魔女の知識

クリスは

レイズに素朴な質問をする。


「……その、レイズ様……」


やはり私は、レイズ様に本当に救われてばかりです。

今回の件も……もし、レイズ様にお話していなければ……

私は……


レイズは笑った。


「まぁ、大体のことは対策できるとは思ってる」


少しだけ間を置き、視線を空へ向ける。


「……だけど、ほんとによかったよ。

 ルティでさ」


その言葉に、クリスはぞっとした。


「……その……

 レイズ様が、“良くない”と思われる魔女とは……

 一体、何者なのですか?」


レイズは「んーーー」と考え込むように唸り、

しばらく空を見上げてから口を開いた。


「そうだなぁ……

 温厚・中立・過激。

 魔女を大雑把に分けるなら、この三つだ」


クリスは、静かに頷く。


「温厚は、さっき言った三姉妹の魔女だ。

 ルティ、サティ、リリィ」


「伝承に記されている“恐ろしい魔女”には、

 この三人は含まれていない」


一拍。


「むしろ……幸運に近い存在だ」


「魔女の伝承が“負”で語られるのはな……

 この三人の祝福が霞むくらい、

 他の魔女がヤバすぎるからだ」


クリスは、なんとなく理解する。


「……それで……

 中立……と……過激、とは……?」


レイズは頷き、説明を続けた。


「中立ってのは、そのままの意味じゃない。

 魔女にとっても敵じゃないし、

 人にとっても敵じゃない。

 もちろん、魔族にとってもな」


「だが……中立の魔女で有名なのが、

 ダルクだ」


「別名、戦いの魔女。

 破壊の魔女とも呼ばれてる」


クリスは思わず声を上げた。


「……どう考えても、物騒ではありませんか……!」


レイズは笑う。


「それが、そういう意味じゃない」


「戦いがとにかく好きなんだよ。

 破壊に美学を持ってる」


「しかも、自分がやるんじゃない。

 他人がやってるのを見るのが好きなんだ」


そして、少し声を落とす。


「……なにより、ダルクは

 自分が魔女だって自覚がない」


クリスは息を呑んだ。


「こいつがいるだけで、その辺りは戦場になる。

 勝ち負けなんてどうでもいい」


「戦う姿こそが生物の根源であり、

 生物が最も美しくなる瞬間だと……

 本気で思い込んでる」


クリスは、その美学に

どこか既視感を覚えた。


戦い。

それはグレイオンにとって誇りであり、

生き甲斐であり、

存在証明でもある。


だが、決定的に違う。


グレイオンは、

自ら戦い、勝ち、最強であることを誇る。


クリスは納得したように頷く。


「……なるほど……

 それは確かに、敵とは言い切れませんね……」


レイズは、呆れたように笑った。


「だろ?

 でもアルバードにとっては、

 敵じゃなくても“厄災”だ」


「しかも悪でもない。

 憎悪を向けられない。

 殺そうとすれば心が痛む。

 罪悪感も残る」


「……だから、本当に倒しにくい」


クリスは静かに言った。


「……無意識に戦いを起こし……

 無意識に存在するだけ……

 悪として断定するのは、難しいですね……」


レイズは言葉を継ぐ。


「それで……

 過激に分類されるのも、また三姉妹だ」


空気が変わる。


「一番厄介なのは……

 使役の魔女、支配の魔女……

 アルティナ」


「こいつは、絶対に出てきちゃいけない。

 本当に、洒落にならない」


クリスは息を詰めた。


「……使役……支配……?

 一体、何を……?」


レイズは、例を出す。


「なぁ、クリス。

 もし、死んだはずのヴィルやセバス……

 あるいは、お前の父親が」


「敵として立ちはだかったら……

 それでも戦えるか?」


その一言だけで、理解した。


「……剣を向けられません……

 出来ないかもしれません……」


「そういうことだ」


「アルティナは魂を奪い、使役する。

 尊敬する者、愛する者を、

 容赦なく敵にする」


「それで、世界を飲み込む」


クリスは、言葉を失った。


レイズは、さらに続ける。


「そして……

 この三姉妹は、容赦なく肉体を奪ってくる」


「もし、クリスの母親の名前が

 アルティナ、ウルティア、エルディナ……

 だったら、洒落にならなかった」


クリスは息を吸う。


「……ウルティアと……

 エルディナは……?」


ここまで来た以上、聞かねばならない。


レイズは手を上げた。


「落ち着け、クリス」


「ウルティアは……

 解読の魔女、理解の魔女だ」


「相手の心、性質、恐怖を読み取る」


「それをアルティナに渡されたら……

 トラウマ級だ」


レイズは、さらに噛み砕く。


「例えばな……

 俺が一番戦いたくない相手って、

 誰だと思う?」


「……ヴィル様や……

 セバス様でしょうか……?」


「確かに嫌だ。

 でもな……」


「リリアナ、メルェ、

 父や母、友人……

 それを敵として出されたら」


「心が、いくつあっても足りねぇ」


クリスは、すべて理解した。


ウルティアが心を読み取り、

アルティナがそれを使役する。


その戦いは、

力ではなく感情を殺す。


レイズは言う。


「な?

 だからウルティアは、

 一番会いたくない魔女だ」


クリスは、さらに問いを重ねる。


「……エルディナは……?」


レイズは即答した。


「変態だ」


「……変態……?」


「繁栄の魔女、色欲の魔女。

 国を作る」


「魔女を崇拝する国をな」


「誰とでも子を作り、

 魔女の血を広げる」


「殺しても殺しても体を乗り換える」


クリスは叫ぶ。


「……それは……

 根絶やしにしなければ……!」


レイズは肩をすくめた。


「落ち着け。

 切り札はある」


「安寧の魔女。

 終わりの魔女……

 リリィだ」


「死属性は、魔女にとって致命的だ」


「俺は使えないけどな」


「あ……」


「だからこそ守る。

 リリィは魔女の味方じゃない」


「魔女にとっての敵だ」


クリスは息を呑む。


「……狙われる……?」


「ああ。

 でもな」


「ルティもサティも、

 リリィを愛してる」


「自分たちを終わらせる存在だとしても、だ」


クリスは、静かに呟いた。


「……魔女たちも……

 戦っているのですね……」


「そういうことだ」


レイズは木刀を構え直す。


「魔女は万能じゃない。

 魔女は魔女で……

 必死なんだよ」

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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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