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【悪役転生 レイズの過去をしる】続編のプロットができたので章を更新します。  作者: くりょ
新たな始まり

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まおー、ゆうしゃ、おうこくさいきょー

その頃――夜の海の上空を、ひとつの影が凄まじい速度で駆け抜けていた。


ガイルだ。


スカイドラゴンの背に跨り、風を切り裂きながら、彼は焦りを隠そうともせず叫ぶ。


「スカイ! 急げ!!

 俺の……俺のせいで、とんでもないことになってる!!」


海面が遠く下に流れ、星明かりが夜空に滲む。

今この空間にいるのは、ガイルとドラゴン――ただ一人と一匹だけ。


「ったく……めんどくせぇ!!」


そう吐き捨てた直後、ガイルはふっと笑った。


「けどよ、失敗は何度してもいいんだ。

 最後に成功すりゃ、それでいい」


自分に言い聞かせるように、声を張り上げる。

それに応えるかのように、スカイドラゴンが咆哮をあげた。


空気が震え、夜の海に衝撃が走る。

――それは、遠く離れた場所にも届いていた。




夜の船の上。

甲板の片隅で、四人は波音に耳を澄ませていた。


アリス、ピスティア、ジェーン、そしてリリィ。

「ねぇ! 今の音、すごくなかった!?」

アリスが目を輝かせる。


ザザーン、と波が船腹を打つ音が重なった。


「こら、アリス。船の外に身を乗り出すんじゃないよ」

ジェーンが笑いながらたしなめる。


「夜の海には、怖〜い魔物がたくさんいるんだからね」


ピスティアは眉をひそめ、静かに呟く。


「……今の音、どこかで聞いたことがあるような……」


リリィは顔を強張らせ、空を見上げた。


「ドラゴン……ですね。

 それも、かなり巨大な……。もし、襲われたりしたら……」

「その時は、あたしの出番さね」


ジェーンはあっけらかんと笑う。


「リリィ、大丈夫だよ!」

アリスが元気よく続ける。

「ジェーンはね、こう見えてもすっっごく強いんだから!」


リリィは改めてジェーンを見る。

女性でありながら鍛え上げられた肉体。

年齢を感じさせない、凛とした佇まい。

……どう見ても、強い。

「そ、そうですよね……」


そのとき、ピスティアがふと思い出したように言う。

「ドラゴンといえば……

 魔王ガイルが使役していた“スカイドラゴン”を、思い出しますね」


ジェーンは苦笑する。

「勘弁してくれ。

 ドラゴンはともかく、魔王は骨が折れる相手だよ」

「ガイルさんって……そんなに強いんですか?」


リリィの問いに、ピスティアは少し考えてから答えた。

「そうですね……

 ひとつの国が丸ごとかかっても、互角とは呼べないでしょうね。

 それくらい、魔王ガイルは規格外です」


「聖国なら勝つさ!」

ジェーンが胸を張る。

「まおー! まおー!」

アリスが楽しそうに叫ぶ。


リリィは笑顔を作りながらも、背筋に走る寒気を拭えなかった。

(……そんな存在と、普通に話していたなんて)

「で、でも……悪い人じゃ、ないんですよね……?」


ピスティアは首を振る。

「悪いかどうかは別として……

 絶対に怒らせてはいけない存在、ですね」


ジェーンがぽつりと続ける。

「魔王に勝てる可能性があるとしたら……

 ニトはもちろん、あとはレイズか、王国最強と呼ばれる騎士――グレサスくらいだろうね」


「おうこくさいきょー!?」

アリスの目がきらきらと輝く。

「そんな人もいるんだ! どんな人なんだろー!」


ピスティアは静かに答える。

「直接会ったことはありませんが……

 ルイスが師事している、と聞いたことがあります」

「勇者が師事する、か」


ジェーンが感心したように頷く。

「それは、ただ事じゃないさね」

「えっ!?

 ルイス様って……勇者なんですか!?」

リリィの声が裏返る。


「ゆうしゃ!?

 ゆうしゃに、まおーに、おうこくさいきょー!!

 すごいね!! みんな会ってみたいなぁ!」


無邪気なアリスの声が、夜の海に響く。

――だが、この場にいる誰も知らなかった。


勇者も、魔王も、王国最強も、すでに敵ではなく。

むしろ、友と呼べるほどの距離にいることを。


そして、否応なく――

近い未来、彼ら全員と顔を合わせることになるという事実を。

このときは、まだ誰も思っていなかった。

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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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