表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を、今度こそ覆す―(現在物語を全話を丁寧に修正しています。180-189話修正、大幅に加筆しました。)  作者: くりょ
レイズになる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
62/792

弱い姿もまた。


その後――。


他の使用人の姿が見えなくなったのを確認し、

イザベルはそっとリアナとリアノを呼び止めた。


「ねぇ……二人とも。レイズ君、どう?」


穏やかな声音。

だがその瞳は、真剣そのものだった。

リアナはきゅっと拳を握りしめる。


「……当主様は、立派なお方です。無理をなさってでも鍛錬を続け、弱音すら決して表に出されません」


その声は誇らしさに満ちている。

だが同時に、どこか硬く、痛みを含んでいた。


一方でリアノは、ふっと微笑む。

「でも……昨日、少しだけ“弱い本音”を見せてくれたんです。私たちにだけ。だから……大丈夫だと思います」


その声には安堵が滲み、むしろ嬉しさすら感じられた。


対照的な答え。

イザベルは胸の奥がじんと熱くなるのを感じた。


――立派に見せたい兄のような姿。

――ようやく漏らしてくれた弱い人間としての姿。


両方を背負って、レイズ君は歩いている。


イザベルの視線は自然と遠くへ向いた。

その瞳には、彼への新たな想いが静かに灯っている。


やがて彼女は、唇に指を当てて考え込む。


「……じゃあ、私もレイズ君に会いに行ってみようかな?」


その言葉に、リアナとリアノは一瞬だけ顔を見合わせた。

リアナが、静かに首を振る。


「……いまは、そっとして差し上げた方がよろしいかと」


リアノも小さく頷く。

「はい……当主様は、頑張りすぎて……。少しだけ、一人で考える時間が必要なんです」

「……そっか」


イザベルは肩をすくめる。

その表情には、ほんのり寂しさが混じっていた。


だが、瞳の奥に光が宿る。


「レイズ君が一人で背負いすぎないように、ちゃんと支えてあげたいな」

その言葉に、二人は胸を打たれる。


そして――

イザベルは静かに立ち上がった。


「……やっぱり、私が会いに行くよ」


リアナとリアノは驚いて顔を上げる。

イザベルは微笑む。

だがその瞳は揺るがない。


(まぁ、そうだよね。レイズ君はここに来て、まだ数日しか経ってないんだもん)

(その短い間に、あれだけの責任を背負わされて……)


胸が、きゅっと痛む。

(そして……その重さをちゃんと理解しているのは、今のところ私とおじいさまくらい)


だから。

「理解している人が、話を聞かなくちゃ。そうじゃないと……きっと、レイズ君は孤独になっちゃうから」


その言葉に、リアナもリアノも反論できなかった。


二人は、不安と期待を胸に、イザベルを見送る。


――


イザベルの背中を見つめながら、リアノは小さく呟いた。


「イザベル様は……レイズ様のことを、何か知って……いるんですね」


リアナは、わずかに目を伏せる。


「……レイズ様が、もう“以前のレイズ様”ではないことを……イザベル様は、気づいておられるのかもしれません」


二人の想いは、形は違えど、同じ場所へ向かっていた。


――イザベルという存在へ。

信頼と、ほんの少しの畏れを込めて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
― 新着の感想 ―
当主の仕事どこ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ