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霊業  作者: まんらび
シーズン1 1章
2/21

2話:初陣戦

前回、謎のご老人――通称「師匠」によって特訓を受けた主人公・気道きどう てる

いよいよ初任務へと挑むことに。

舞台は、毎年行方不明者が続出するという“不吉な塔”。

そこに潜む霊の正体とは……?

【登場人物】

主人公:気道 輝

老婆の霊

手の霊

聳え立つ、不気味なオーラを放つ塔――『不死の塔』。

その麓へと、気道 輝はゆっくりと歩を進めていた。


「……山の途中にも、至る所に献花されてるな。

 霊の数も、塔に近づくにつれて明らかに増えてる……」


だが、襲いかかってくる気配はない。

相手は下級霊。こちらに干渉するほどの力は、ないのだろう。


 


数分後。塔の目前に到着する。


「……ここが、不死なる塔か。

 確かに……いるな。とんでもないのが」


その瞬間、輝は一歩足を踏み出し――


「うわッ!」


何かに足を引っ張られて転倒した。


「イテテ……な、なんだ……?」


視線を落とすと、地面に埋まる“手”。

それは、まるで助けを求めるように揺れていた。


「手……?霊っぽいけど……。

 ま、今は構ってられないか。下級霊だし、放っておけば成仏するだろ」


そう言って手を軽く叩き、頭を下げる。


「ごめんな。これ終わったら、なんとかしてやるからな」


そして、塔の方へと再び顔を向けたそのとき――


「……ゾッ」


全身を貫く、冷たい気配。


「……いる。老婆の霊……!」


 


「ヒタッ……ヒタッ……」


輝が一歩後ろに下がると、霊は――音もなく消えた。


「消えた……?」


すぐに構えを取り、集中する。


「見つけろ……見つけるんだ……」


神経を研ぎ澄ませ、気配を追う。

そして――


「……下か」


下を向くと、影の中に“それ”はいた。

老婆の霊が、影の底に潜み、こちらを見上げていた。


「くそっ……そんなところに……!」


輝が動いた瞬間、霊もまた影から這い出てきた。


「影に潜む霊……!?聞いたことねぇぞ……。

 ……勝てるのか、俺に……?」


初任務にして、早すぎた強敵。

輝は唇を噛みしめ、判断する。


「無理だ……逃げるしかねぇ……!」


 


そのとき。


どこからともなく、フワフワと浮遊霊が現れる。


「下級霊か……」


だが――


「ガブッ!!」


老婆の霊が浮遊霊を噛み砕き、吸収した。


「?! ……マジかよ……。

 霊力が、大幅に増してやがる……!」


一気に状況が悪化する中、輝は一度その場を離れようとする。

だが――ふと、脳裏をよぎった。


(……あの“手”の霊。

 このまま放置したら、あいつもあの老婆に食われるんじゃ……?

 さっき足を掴んできたのも、助けを求めてたからか……?)


 


気づけば、輝の体は“手の霊”の方へと動いていた。


「師匠なら...ここで見捨てねぇ!!」


 


老婆の霊が、確実にこちらを追ってきている。


「手の霊! 来たぞ、手を伸ばせ!!」


「ガシッ!!」


輝はその手を力強く掴み、一気に引き抜く!


――すると。


「うわっ……!!」


あたりが、まばゆい光に包まれた。

老婆の霊の叫び声が響く。


「いギャァァォアアアア!!」


強烈な光が、霊気を焼き払っていく――。


 


やがて光が収まり、輝は周囲を見回す。


「……見えるようになってきたな。

 ん……? 老婆の霊が……いない……?」


周囲から、あの異様な霊気はすっかり消えていた。


「倒せたのか……? 何もしてないけど……。

 ……ま、助かったんなら良いか」


そう呟いて、肩を撫で下ろす。


「ふぅ……初戦でこれかよ……」



「って、手の霊……まだ俺の手、握ってんのか。

 もう大丈夫だぞ」


そう声をかけると、手の霊が地面に文字を書き始めた。


 


『私の封印、解いてくれてありがとう!

 私なりに恩返ししたいから、何かやってほしいこととかない?』


 


「やってほしいこと、か……。

 そうだな……俺に、ついてきてくれないか?

 この先いろんな場所に行くし、戦力は多いほうが助かるからさ」


すると、手の霊はすぐに反応する。


『もちろん! 私でよければ……お供させて!』


 


「よし! 次のとこ行きますか!」


『次のとこ……?』


「うん。てかさ、毎回地面に書くの面倒じゃない?

 次のとこ行くまでの間に、紙とペン買ってあげるよ」


『ほんと? ありがとう!』


 


「次の舞台は……学校。

 “学校の七不思議”の調査依頼が来てる」


『誰からの依頼?』


「……それが、“名無し”なんだよな」


『名無し? 危なくない……?』


「でも、依頼された以上は行かないとな。」


『……了解。行きましょうか!』


 


こうして輝と手の霊は、次なる任務――“学校”へと向かうのだった。

今回は、輝にとって初めての実戦――まさに「初陣」と呼ぶにふさわしい戦いでした。

塔に潜んでいた老婆の霊、そして謎の下級霊「手の霊」……まだまだ謎は深まるばかりです。

次回はいよいよ「学校の七不思議」編に突入!どうぞお楽しみに!

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