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霊業  作者: まんらび
2章
18/46

18話:輝の過去

選抜試験という非日常が終わり、三日の準備期間を得た輝。

一度は日常へ戻ったものの、そこに待っていたのは――“学園外”の人間関係だった。


学校では、誤解と偏見に満ちた視線。

九条颯真の飄々とした圧力。

そして、生徒会長・新多 優と不良・獅子堂 炎次という二つの存在。


光と闇、秩序と反逆。

新たな人間模様が渦を巻き始める中で、輝は再び“居場所”を問われる。


笑い合い、騒ぎ合う日々の裏で――

輝の胸には、忘れてしまっていた深い傷が...。


それは幼少期に刻まれた傷痕。

失われたものへの後悔。


正義感でも、義務でもない。

ただ「大切な人を守りたい」という、少年の切実な想い。


禍津学園に足を踏み入れる前に、輝の原点がついに明かされる。

これは――気道輝という少年の「始まりの話」。

【登場人物】

主人公:気道 輝

気道 知子

神田 大輝

獅子堂 炎次

新多 優

佐山 太郎

谷口 亮介

浜野 大地

獅子堂「ちっ……」

悪態をつきながら教室を後にする。


新多「ごめんね? 輝……くん、だよね?」

輝「あ、いいっすよ! 気にしてないんで……」

新多「アイツには俺から強く言っとくから大丈夫!」

輝「ありがとうございます……」


新多は安心させるように微笑むと、振り返らずに教室を出ていった。


教師「おいお前ら! また気道に突っかかってんのか? 内申点減らされても文句言うなよ〜。ったく……」


──1限目の授業中。


輝「(やばい……寝れてないから眠い……)」

机に肘をつきながら、瞼が重くなっていく。

その様子を、後ろの席の神田がじっと見ていた。


神田(輝……すっごい眠そう。怒られるから起こすか……? いや、寝かしとこ。危なかったら俺が起こせばいいし……)


輝はやがて机に突っ伏し、夢の世界へと沈んでいった。


――――


(夢の中)


これは、忘れていた過去の出来事だ、


輝「こんにちは!」

近所のおばさん「あら、輝くん...可愛いねぇ」

???「でしょう! 私の自慢の子ですから!」

おばさん「輝くん、何歳?」

輝「12! もう僕、大人だよ!」

おばさん「あらあら……頼もしいねぇ。そういえば知子さん、失礼だったらごめんなさいね。旦那さんっていらっしゃる?……まだ挨拶してなくて」


気道 知子「主人は仕事ばかりであまり帰ってこないんです。週に1回……いえ、半月に1度帰ってくるかどうかで」

おばさん「まあ……それは寂しいわね。輝くん……」

輝「寂しくないよ? 僕強いし! お父さんも強いんだよ! ドンって!」

おばさん「ドン……?」

知子「輝……それは内緒の話でしょ?」

輝「あ……ごめんなさい」

知子「ふふ、大丈夫。じゃあ私たちはこれで」


二人はおばさんに手を振り、その場を後にした。


――自宅


輝「ただいまー!」

知子「先に手を洗ってきてね」

輝「分かってる!」


(輝が洗面所へ駆けていく)


知子「お皿……溜めちゃったわね」

腕まくりしながら皿洗いを始める。


ガシャン!!

知子「っ……!? 輝!」


振り返ると、輝が怯えた顔で洗面台を指差していた。


輝「お、お母さん! 鏡の……鏡の中に!」

知子「……!? こいつは、雲外鏡……!」

輝「怖いよぉ……」

知子「輝……? 見えるの?」

輝「うん……見える……」


知子の表情が一瞬で変わる。


知子「……輝。これから、他にも何か見えても……無視して。お願い」

輝「お母さん……?」

知子「ごめんね。ソファでテレビ見てて。お父さんに連絡するから」


――電話をかける知子


知子「えぇ……すぐ帰ってきてほしいの。……え? 一週間は無理? ……なるべく早くお願い……」


受話器を置いた瞬間。


輝「お母さん……その後ろのおじさん、友達?」

知子「……!?」


振り向くが、そこには誰もいない。

しかし、輝の瞳は確かに“何か”を捉えていた。


知子「……輝。おじさんなんて居ないの。見えても……無視しなさい」

輝「……うん」

知子(私が見えないレベルの霊までも見えてる...この子...)


――翌日。


輝「行ってきまーす!」

知子「行ってらっしゃい……」


学校にて。


輝「おはよ!」

クラスメイト「おはよ〜」


いつも通り挨拶を交わしていたその時、背後から強い蹴りを受けた。


佐山「おい鬼! 討伐してやる!」

輝「や、やめてよ! 佐山くん!」


佐山さやま 太郎たろう

弱い者を標的にする典型的ないじめっ子。仲間を従えて調子に乗るが、本質は臆病で強者には逆らえない。


佐山「お前、お父さんいないんだろ? だっせぇ!」

輝「関係ないじゃん!」

佐山「谷口! 浜野! 鬼退治だ!」


谷口たにぐち 亮介りょうすけ

とにかく口が軽く、調子を合わせるのが得意。佐山に媚びて一緒に笑うが、心は常に小心者。


浜野はまの 大地だいち

無口で感情が読めない。だが暴力には一番積極的で、佐山に従う形で動く。


谷口「さっちゃん、かっけー!」

浜野「……」

輝「やめて! こっち来んな!」


佐山が木の枝で輝を叩く。


輝「痛っ! やめてってば!」

佐山「へへっ、ざっこ!」


その時――


ドゴッ!


佐山が殴り飛ばされ、地面に転がる。


谷口「さ、さっちゃん!」

???「またいじめか! 何回痛い目見りゃ気が済むんだよ!」


輝「神田!」

佐山「か、神田……! またお前か!」


神田は輝の前に立ち、手を差し伸べる。

神田「輝、大丈夫か? 立てる?」

輝「……ありがとう」


佐山「そんな弱いやつ助けて何になるんだよ!」

神田「ったく……なんで輝ばっか狙うんだ?」

谷口「弱っちぃからだろ」

神田「……じゃあ、お前らをいじめても文句ないよな?」


佐山「ちっ……行くぞ!」

取り巻きを引き連れ、捨て台詞を残して去っていく。


輝「いつもごめんね……」

神田「いいんだよ。悪いのはアイツらだし、輝は謝る必要ないって。……ほら、早く行こうぜ。遅れるぞ!」


二人は肩を並べ、教室へと戻っていった。


〜放課後〜


神田「輝〜、帰るぞ〜」

輝「うん!ちょっと待ってて!」


その時、佐山と谷口、浜野の3人が廊下の向こうから歩いてきた。


佐山「おい、鬼!」

輝「え?」

神田「……またお前らか、帰るぞ、輝...」


谷口「おい待てって。今回はちょっと違うんだよ」

神田「違う?」


佐山「あぁ。学校の裏山にある墓場……出るらしいんだよ」

輝「で、出る?」

谷口「そうそう……幽霊がな!」


神田「はぁ? くだらねぇ……行くぞ、輝」

輝「う、うん……」


佐山「おい、待てって言ってんだろ! 最後まで聞けよ!」

神田「……なんだよ」


佐山「度胸試ししようぜ。今夜、その墓地で!」

神田「……なんだ、そんなことか。俺は断る」

輝「ぼ、僕も……」


谷口「ははっ、ビビってんのか?」

佐山「やっぱり怖がりだな」


谷口&佐山「やーい、ビビり〜!」


神田「はぁ!? ビビってねぇし! やってやるよ!」

輝「えっ……!?」


神田「……輝は家に帰っとけ」

輝「やだよ! 神田が行くなら、僕も行く!」


佐山「ふん、決まりだな。今夜、裏山の墓地集合だ!」


そう言い残して、佐山たちは笑いながら去っていった。


神田「……ったく、面倒なことになったな」

輝「ごめんね、僕のせいで……」

神田「気にすんな。どうせアイツらのくだらない遊びだ。幽霊なんて出るわけねぇし」

輝「うん...」


輝は胸の奥で言えない不安を押し隠した。


その日の夜、二人は約束の墓地へ向かうことになる――。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


18話では、輝の幼い頃の記憶が語られましたね

母・知子との会話で、彼が“普通ではない力”を持っていることが明らかになり、同時に「それを隠して生きろ」という切ない教えも描かれました。

そして現実の学校生活では、いじめっ子たちに目をつけられながらも、神田の支えによって輝が守られている姿が浮き彫りになったと思います。


ラストはついに「裏山の墓場」という肝試し展開へ。

次回は、子どもたちの度胸試しがただの遊びでは終わらないことを描いていく予定です。

“本物”が混じるかもしれない夜に、輝と神田はどう立ち向かうのか……!


ここから一気にホラー要素が濃くなっていくので、ぜひ楽しみにしていてください。


次回ーー19話 忘れたい記憶 です!お楽しみに!

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