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霊業  作者: まんらび
シーズン1 1章
1/20

1話:才の持ち主

今回の登場人物

主人公:気道 輝

謎のご老人

いつも通りの帰り道――。

それなのに、胸の奥をざわつかせる底知れぬ焦燥感が俺を急かしていた。


足早に通り過ぎようとしたその瞬間、

「お主……あるよ。才が……」


――突如、住職のような正装を纏った見知らぬ老人に声をかけられた。


困惑しつつも、俺は素っ気ない態度で立ち去ろうとする。

だが、老人はあきらめることなく、家の近くまでぴったりとついてきた。


しびれを切らした俺は、ついに問いかける。

「……なんですか。才って」


すると老人は、まるで待っていたかのように頷いて言った。

「才は才じゃよ。お主には、呪霊操術の才が溢れ出とるのじゃ」


得意げに語るその口から、次に飛び出したのは、予想外の一言だった。

「どうじゃ、儂の弟子にならんかの?」


俺は――特に取り柄のない、何者でもない人間だ。

それでもそのときは、ふとこう思った。

(……もう、どうにでもなれ)


「……わかりました」


そう返事をすると、老人は満足げに笑い、言った。

「明日迎えに来る。準備しておくのだな」


「はいはい……」

軽く流して振り返ると、そこにもう老人の姿はなかった――。


 


──翌朝。


昨夜の出来事が頭から離れず、結局一睡もできなかった。

あれは夢か冗談だろうと思い、荷造りなど何もしていない。


「……コンコンッ」


突然、窓の方から音がした。

目を向けると――そこには昨日の老人が立っており、こちらへ手招きしていた。


「ほれ! 迎えに来たぞ!」

「何も準備しとらんではないか!」


驚きのあまり棒立ちになる俺に、老人が一喝する。

「はよせんか!!」


その声でハッと目が覚め、慌てて準備を始めた。


俺に迷う理由はなかった。


両親は――俺が小六のときにこの世を去った。

その場に俺も居合わせたはずだが、あまりの衝撃で記憶は途切れ途切れ。

思い出せるのは、せいぜい薄れかけた両親との日常の断片だけだ。


……もう、どうでもいい。

そう考えることで、ようやく自分を保ってきた。


簡単に身支度を整えると、俺はまっすぐ老人のもとへと向かった。


 


――そして、始まった。

霊能者になるための修行の日々が。


2ヶ月にわたり、朝から晩までの修行。

最初こそ「つらい」「帰りたい」とこぼしていた俺だったが、

やがてその気持ちも次第に薄れ、自分が何を目指しているのかさえ、分からなくなっていった。


ただ――老人が毎日のように口にしていた言葉がある。


「困った人が居たら、迷わず助けよ……それが、ワシの信じてきた道なのじゃ」

「輝や……お主が傷つくのは見たくはない。じゃが、心優しいお主ならば、きっと助ける判断を取るじゃろう?」


その言葉を耳にするたび、胸の奥に何かが積み重なっていくのを感じた。

他人を想う気持ちが、日に日に強く、大きくなっていく――まるで、それこそが自分に課せられた使命であるかのように。

 


やがて修行が終わり、霊の知識を身につけた俺に、

師匠――そう、あの老人は言った。


「お前は凄い才の持ち主じゃったよ。儂の目に狂いはなかった!」

「2ヶ月ちょいで習得するとは、たまげたもんじゃ!」


そう言いながら、俺の背中を思い切り叩いた。


「バシッ!!」

「痛ってぇ! なにすんだよ!」


師匠はニヤリと笑う。

「ホッホ……気合を入れてやったんじゃ。気張れ、初任務じゃ!」


そう言って手渡された一枚の紙には、住所と「武運を祈る」とだけ記されていた。


「……行ってきます、師匠」


そう言い残し、俺は寺を後にした。


 


バスに揺られ、紙に書かれた場所へと向かうこと約20分。


「ふぅ〜、着いたぁ〜……」


バスから降りた瞬間、

「ズン……」


地面が揺れるような、不穏な気配が足元から伝わる。


視線を上げた俺の目に飛び込んできたのは、

――目的地、『不死の塔』。


異質な空気をまとい、そこに、そびえ立っていた。

はじめまして、こんばんにちは!

小説はこれが初めての挑戦で、まだまだ未熟な“ど素人”です。

読んでくださって本当にありがとうございます!


もしかすると、「あれ、どこかで見たことあるような…?」という展開や表現もあるかもしれませんが、あくまで趣味として、自分なりに楽しみながら書いています。

どうか、温かい目で見守っていただけると嬉しいです。


ストーリーはすでにシーズン3 第4章まで構想済みなので、

これからどんどん盛り上げていく予定です!


次回は――

第2話『初陣戦』、ぜひお楽しみに!

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