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15 元メイド

 門の前で、震えながら待っていたメイドのハンナを拾ってから、ルカが手配してくれた馬車に乗り込んだ。

 中には、すでに乗客が乗っていた。

 知っている女だ。


「あら、お久しぶりです。お嬢様」


 真っ赤な爪をした女。いつもその爪で、アリーちゃんを傷つけていた。意地悪な元メイド。


「お嬢様のメイドだった彼女に、白い結婚と、浮気相手のメリッサについて、証言してもらいます」


 ルカが雇った調査員が、元メイドのミアを見つけてきたそうだ。

 その調査員、めちゃくちゃ優秀じゃない? 支払いは大丈夫?

 

「お金をもらえるんだったら、証言してあげてもいいわよ。ガイウス様ったら、私の体にはもう飽きたからって、侯爵家で雇ってくれないの。メリッサと違って、私には利用価値がないなんて、失礼しちゃうわ」


 なぬ? ガイウスはメリッサだけじゃなくて、他のメイドにも手を出してたの? 節操ナシのキモエロ男め!


「借金が返せずに、コンロン男爵に妾として売られかけたところを助けてあげたのですから、こちらの有利になる証言をしてもらいますよ」


「分かってるわよ。私も、メリッサのわがままには、うんざりしてたの。仕返しぐらい、してやりたいわ」


 つまり、彼女は愛人2号で、愛人1号のメリッサとは敵対関係にあるってこと? 敵の敵は味方だから、私達に協力してくれるの? でも、信用できる?


「メリッサはね、子供の頃から、ガイウス様の恋人だったって言ってたわ。だから、私と同じ平民なのに、あいつだけ特別扱いなのよ。そんなの、ずるいでしょう? 同じ愛人なのに、あいつだけ仕事もしないで、いい暮らしするなんて。私の方がずっと美人なのに、不公平じゃない?」


「メリッサは、子供時代から、ロンダリング侯爵家と関係があったのですか?」


「そうよ。いつも自慢してたわ。私は特別だから、侯爵様にも目をかけてもらってるって」


 彼女の言葉に、ルカは考え込んでいる。つまり、ガイウスは、昔からの愛人を私のメイドにしたってことね。ほら、これで代理母なんて、嘘が通用しなくなるよね。もともと体の関係があったんだったら、ただの浮気だよ。


「侯爵家に見つからないように、裁判までは、宿屋でおとなしくしていてください」


「わかったわ。言われたとおりに裁判で証言すれば、残りのお金をもらえるのね」


 前金の入った袋を、にんまり笑いながら受け取って、彼女は馬車を降りた。


 よかった。証言してくれる人を確保できた。

 裁判は、きっとうまくいくよね?


 アリーちゃんは、卵から赤ちゃん生まれる説を信じてたし、メリッサは代理母じゃなくて、ただの浮気相手。


 そもそも、辺境伯家と血のつながりのない子供を跡継ぎにしようとするのは、お家乗っ取りなんだから。重罪確定だよ! 

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