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〜頂点から底辺に〜

       ---------魔界---------

ズバッ!!

「んグァぁぁぁ!!」


勇者軍と魔王軍の死闘が繰り広げられ

魔王軍は残すは魔王のみとなった。


「残るは魔王!!お前だけだ!!」

「バカな....オレの手下が全滅だと!?」

予想外の結果に怒りで震える魔王。


長年世界を恐怖に襲われ数々の大切な人達を

失ってきた勇者軍…その勇者の目は

強い決意で滾らせていた。


「お前が存在する限り!!この世界に平和は

 訪れない!!これで終わりだ!!!」


「抜かせ!!それはオレのセリフ!死ね!!」

魔王!!渾身のエネルギー派を勇者に放つ!


          一閃


勇者はエネルギー波を切り裂き魔王を一刀両断!!!

「終わりだ!!!」

勇者軍!トドメの一斉攻撃!!


「ッッ...!ば、バカなァァァァ!!!」


       ーーープツンーーー


勇者軍と魔王軍の世界を賭けた戦いは

人類の希望を担いだ勇者軍の勝利となり

世界に平和が訪れる結果となった。


歴代の勇者達を葬ってきた魔王は

度重なるダメージの蓄積と劣化、

勇者軍の力の発展により呆気なく敗れた。


「...暗い...オレは死んだのか?」


敗れた魔王は気がつくと暗闇の世界にいた。

身体もなく魂だけがふわふわと彷徨っている。


魔王は一体何時間、いや何日間彷徨ったのだろうか。


「天国と地獄とはよく言ったものだ。

 この世にそんなもの存在するはずがない」


すると一寸先。小さな光!


「あの光はなんだ?」


小さな光は突然大きく広がり暗闇の世界を包み込んだ。

「ッッ!!ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


突然起き上がり目を覚ました。

見渡すと見慣れぬ景色。小さな狭い部屋のようだ。

今の魔王は魂の状態ではなく身体があることに気づく。

(手足を動かすことが出来る...なっ!?

この手は人間!?どういうことだ!さらに下半身...

こいつ何も履いてないじゃないか!だが股付近に

白い紙繊維が覆い被さっている...)


状況が全く読み込めない魔王。

遠くから声が聞こえてくる。

「〜...〜...」


「ん?だれだ?」

「はっはっはっ戸惑っているな」


       ーーープツンーーー

また当たりが一面暗闇となった。

「なんだ!?何が起きてる!!貴様は誰だ!!」


「かつての魔王がとんだ驚きようだな」

暗闇の中で声が響き渡る。

「出てこい!!正体を現さぬか!!」

いくら魔王が喚いても一向に姿を現さない。


「私はシドウ。君の頭に直接語りかけてる。

 実態などない。君の置かれてる状況を

              説明してやろう」

「訳がわからん...なぜ貴様そんなに偉そうなのだ」

今まで散々偉そうにしてきたのは魔王である。


「君は前世魔王で悪事を散々働いてきた。

 君には少し反省をして貰おうと思ってね」


「たわけ!!このオレが反省だと!?

 貴様!消してやる!!!」

魔王が反抗した瞬間、身体に電撃が走る。


「〜〜〜ッッッ!?!?」


「はっはっはっ!!君はもう前のような力はないし

 私に実体はないと言っただろう?

 さらにこの空間は私の思うがままなのだよ」


聞く耳を持たぬ魔王は電撃が止められては反抗。

反抗しては電撃。何度も何度も繰り返された。

しばらくして

「ハイ、スイマセンデシタ。

     今のオレの状況を教えてください」


「やっとおさまったか。

 どれ、今の君は人間の世界に転生し〜〜」


魔王は驚きのあまり言葉が出なかった。

それもそのはず、別世界の人間に転生したのだから。

シドウから延々と別世界の仕組みを説明され

仕組みを把握した魔王。


魔王の転生体は大門(だいもん)マオ。22歳大学卒。

春からサラリーマンという人間のようだ。


彼の経歴を説明してもらうと一言で冴えない男。

仲間、つまり友達も多くなく学校とやらでは

いつも隅っこにいる人間。生まれてこの方女を

作ったこともなく、憧れの女を見てはただ指を咥え

誰かに奪われてく様を見せつけられてきた。


幼馴染の女もいたようだが別の男に取られ

ただ一人寂しく生きてきた男のようだ。


この男の死因は自分の部屋で快感を求め励んだ結果

テクノブレイクとやらで死んだらしい。


そこでこの身体に魔王の魂が入り

別世界で生を受けたというのだ。


この冴えない男を立派な男として生き抜くのが

魔王の使命のようだ。


「これからお前は魔王でなくこの

 大門マオとして生きる。なのでお前はもうマオだ。

 この世界でマオとして生き抜いてもらう」


未だに言葉が出ない魔王ことマオ。


「なに、大丈夫だ。色々わからないことが

 あってもマオの記憶は共有されるので

 わからないことはない。安心しろ」


「安心しろと言われてもな」

やっとこ言葉が発せたマオ

「さぁ前世は魔王のマオ!この人間界で立派に

 生き抜いてみよ!」


眩い光がまた世界を包み気がつくと

マオの部屋に戻っていた。


魔王は少し考えた。

そして笑った。


「かつては世界の頂点に立ったこのオレだ...!

 ならば!この世界でも頂点に昇りつめてみせる!!」


かつて世界を恐怖に陥れた魔王!!

冴えない人間に生まれ変わりサラリーマンとて

新たな生活が始まる!




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