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リアル・セイバー  作者: しき
第1章
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英雄

英雄

 サリーは元来上位の亜人であった。死霊術師(ネクロマンサー)の職を持ち、最上級魔法を操る。回収した悪意も100以上と同類の中では注目株であった。しかし、異世界人に力を奪われ今や使用人として雑用に励んでいた。

 今日は異世界3英雄の集いのための設営(セッティング)をしていた。注文(オーダー)通り105号室にテーブル、椅子を配置しそれらを磨き上げる。そして、集い直前に指定された飲み物と茶菓子を配置する。

 次々と英雄たちが入室する。

 勇者、荒木。たった1年で異世界を救った逸材である。刺激を求めて現実(リアル)に来た戦闘マシーンである。戦闘以外のことは苦手であり、彼の世話には相当手間がかかる。102号室の住人である。

 武闘家、くろ。勇者が最初に出会った仲間であり最初に別れた仲間である。故郷の村の仕送りのために現実(リアル)にやってきた。戦闘以外にも基本的な家事をこなすが文明の利器である洗濯機や掃除機を使いこなせない。103号室の住人である。

 賢者、新。勇者が最後に出会った仲間であり最後に別れた仲間である。現実(リアル)に来た目的は不明である。家事はやろうと思えばできるらしいがサリー任せである。104号室の住民である。

「残念なお知らせがある。他の仲間のスカウトに失敗したそうだ。」

 新は純水を飲み終わるとそう告げた。不純物が少量でも入っていたら不機嫌になる。

「・・・」

 荒木はホットコーヒーをすする。予想できることではあった。平和を望んでいた彼ら彼女らが自ら平和な世界を離れることを渋るのは当然であった。

「冷たい連中ね。ほとんど会ったこともないのだけど。」

 くろはアイスティーに口をつける。

 荒木はもとの世界で冒険するにあたって場面場面で最適の編成を組んでいたため、仲間の入れ替わりが激しかった。魔王討伐後の凱旋パレードのときに一同を介したに過ぎずくろと新も面識は皆無に等しかった。

「我らにとれる道は3つ。」

「3人で戦う。」

「公募枠と共同戦線を張る。」

「新戦力を育成する。」

 新は荒木に選択肢を提示する。

 荒木はそれぞれ選択肢について考察する。

 まず「3人で戦う。」は亜人単体と戦うことはできても亜人が集う展示会、そして、展示会の元締め(オーナー)を叩くには戦力不足である。

 次に「公募枠と共同戦線を張る。」は諸刃の剣である。公募枠は荒くれ者が多く裏切る可能性もある。現段階でそのような危険(リスク)を負いたくないと感じた。

 最後に「新戦力を育成する。」については何も情報がない。現実(リアル)には亜人と戦うすべがないことは周知の事実である。

「何か奥の手があるのか?」

 荒木は新に尋ねる。

「これだ。」

 新は小さな(ビン)を取り出す。その中には赤黒い液体が蠢いていた。

 



 

 



 


 

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