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リアル・セイバー  作者: しき
第1章
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全知全能

全知全能

「オレオレ、今お金に困っててさあ。」

 駒海斗(こまかいと)はいつも通り、詐欺を働いていた。彼は盗んだ携帯電話と数通りの会話パターンを駆使し、労せずお金を手に入れることができた。

 今日は調子もよく、ノルマを達成したのでカジノで遊ぶこととした。閉店時間まで賭け事に勤しみ、岐路につくこととした。彼には決まった住所がなく、ホテルを転々としている身なので近くのホテルに向かう。ふらふら歩いていると洋館のような建物にたどり着いた。その洋館は煌びやかな外観でありその様相に魅せられたのか気づいたら建物の中に入っていた。

 建物の奥にはフロントがあり、そこに西洋風の格好をした女性が佇んでいた。スタッフまでこだわっているとは来たかいがあったと思った。

「わたしはサリー。ようこそ。悪意をもつ者よ。」

 サリーはお辞儀をした。

 駒海斗にはよくわからなかったが、この屋敷の独特な雰囲気で意識が朦朧としており。サリーに近づいて行った。もうサリーの手の届く距離に近づきかけたとき、扉が開く音がした。

「見つけたぞ、亜人!」

 扉の方には長身の青年が立っていた。

「わたしはサリー。あなた、だあれ?」

 サリーは青年を睨みつけた。

「我は(しん)。貴様を狩りに来た。」

 新は上級魔法自画自賛(セルフ・コントロール)で駒海斗の洗脳を解き、サリーから離れるよう促した。

「逃がさない。」

 サリーが叫ぶ。サリーの周りには怨霊のようなものが蠢いていた。

「こっちに来るんだ。」

 新と駒海斗は扉から外に出るも空間の歪みにより屋敷内に戻される。この屋敷は入ることはできるが出ることはできないようになっているようだ。全く、厄介な仕組みである。

 サリーの怨霊が襲い掛かる。新は最上級魔法聖域展開(サンクチュアリ)を唱えそれらの侵攻を阻む。しかし、このままでは魔分が尽きてしまうので通信魔法にて応援を呼ぶ。

「賢者のくせにやられてやんの。」

 嫌味をいいながらくろは姿を現した。

 新は無駄に余りある「才」で無知の知(オール・ノウレッジ)を極め賢者になった嫌な奴である。そして、攻撃魔法と回復魔法以外のほぼすべての魔法を使用し、職能力(ジョブスキル)詠唱強化(ゴッド・ブレス)により1000分の1の魔分消費量とすることができる。要は現実(リアル)でも最上級魔法が使える。

「この幽霊、触れるの?」

 くろは新に尋ねる。

「我が貴様に能力(スキル)悪霊退散(ゴースト・バスター)付与するから問題ない。」新は独自能力(オリジナルスキル)創造主(スキル・マスター)を使用する。

 くろは聖域を出て怨霊と格闘する。不気味ではあったが慣れば特に問題なく怨霊を次々と退治した。そして、サリーに目を向けたとき、サリーは最上級魔法蜃気楼(ミラージュ)を唱えて姿を消していた。

「あたしこの手の魔法苦手なんだなあ。」

 くろは焦る。

 くろは魔法に耐性がないので死角から攻撃魔法を撃ち込まれたら終わりである。とりあえず能力(スキル)鋼の精神(アイアンハート)で落ち着くことにする。

 新は職能力(ジョブスキル)空間把握(インサイト)を使用する。これにより元素の分量までも計測することができる。新は通信魔法によりくろに攻撃する時間、方向を指示する。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 くろはとにかく全力で蹴った。確かに手ごたえはあり、サリーは悲鳴を上げた。

「とどめを刺すか。」

 新はサリーに近づいた。

 サリーは殺意を向けるも攻撃する魔分が残っていなかった。

 新は職能力(ジョブスキル)市民平等(ジョブリセット)を使い、サリーを無力化した。

「この悪魔!なんでこんなひどいことを!」

 サリーは涙目になっていた。

「ちょうど召使いが不足していたところだ、雇われてみるか?」

 サリーは圧倒的力を前に頷くことしかできなかった。

 新は逃げ出そうとする駒海斗に彼が働けそうで最も待遇のよい求人広告を手渡す。

「貴様は真面目に働け。悪意が消せるかどうかはお前次第だ。」

 駒海斗は詐欺師を辞めた。

 


 


 


 

 

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