後日談 罪人編
神奈は先日の大戦でシンを助けられなかったことを後悔した。
一瞬の油断でシンを勇者の矛から守ることができなかった。また、狩人マキを早めに始末していればこのような結末にならなかった。すべては急に大きな力を手に入れた慢心があったからである。神奈は三日三晩悩み苦しんだ。そして、ある朝、自室のインターホンが鳴っていることに気付いた。
「開けないならこの扉ぶっ壊すよ。」
このアパートの大家浦川七海の声であった。
神奈は仕方なくドアを開ける。
「家賃なら払っているはずですけど。」
「なんとなく来ちゃった。」
浦川七海は遠慮なしに部屋に上がり込む。
神奈の部屋には大した家具はなかったが片づけはされていたので浦川七海は床に寝転がる。まるで親しい友人のようであった。
「シン様は本当に勝機を見出していたんですか?」
「実は勇者が倒れた後いのりちゃんとあたしがシンを抑える手はずだったの。そして、あたしは前世でシンに神技「分岐干渉」をかけて行動を制限していた。あとはわかるでしょう。」
「つまり茶番だったってことでしょうか?」
神奈は怒りの刃を浦川七海に向ける。
「シンはそれぐらいの困難を覚悟をもって行おうとしてたということ。良し悪しはともかくあたしは尊敬している。もしかして本当にあたしたちも倒す気だったかもしれないし。」
いつの間にか、神奈にとっていままでの後悔や悩みはどうでもよいものとなっていた。そして、再びシンの協力をすることとした。
ー〈END〉ー




