後日談 勇者編
先日の大戦にて己の力をすべて失ったアランは異世界に戻り、人知れず山奥で修練に励んでいた。
現実は相変わらず混沌としていて浦川七海の思うがままになっていたが奴と戦う力も意思も持ち合わせていなかった。
そして、気付いたのは自身が守りたいのはあくまで異世界と呼ばれる故郷のある世界のみであることであるということだ。そして、この世界は再び魔王軍による侵略を受けつつあった。
現在の魔王は転移魔法の使い手で魔人達を大量に送り込んでくる。防人ヘレンを中心とした勇者軍はそれらを水際で食い止めている。もちろん勇者軍には勇者はいない。
シンが勇者という唯一無二の存在を消してしまったがアランの諦めないという行動が仲間たちに勇気を与えていた。
今日もいつもどおり、師匠である大魔導士イミュの魔法訓練を受ける。
「またばらんすがわるいー。」
イミュはよく指導をしてくれているが相変わらず勇者のリセットされた無知の知では、何を言っているかよくわからない。
「自分の魔分の色をうまく配分しろってことだよ。」
翻訳アプリIMYUが説明する。
「師匠。わかりました。それにしても自分が7色の魔分を扱えるようになるとは思いませんでした。」
純度の高い有彩色の魔分を扱えるものはどの世界にも存在しない。この力を洗練させて再び戦えることを夢見ていた。
ー〈END〉ー




