セカンドライフ
天井人不亜との戦いが終結したとき、とあるアパートの101号室で慰労会が行われていた。
「でし。よくもどってきたなー。」
「ありがとうございます師匠。しかし結構ハードでした。」
勇者荒木の帰還をいのりが労う。2人が腰かけるテーブルには中華料理のコースが並んでいた。いのりは麻婆豆腐をすすりながら話す。
「ななみちゃんももうすぐかえってくるよー。」
部屋の隅にある魔界の門が開き、浦川七海が出てきた。
「いやー。無事に魔王の血統に転生できてよかったよ。」
勇者荒木は能力無知の知で自身が現実から離れていた間の出来事を理解した。我が師匠いのりの力で浦川七海も魔人に転生したのだ。
「まあ、みんなのおかげであたしの目標は達成されて満足なんだけど。」
亜人の起源である不亜が消えたことにより亜人は現実から消え去った。元の現実をこよなく愛する七海は上機嫌そうであった。
「それより仲間の須納瀬栄人を殺したのは納得いかないのだが。」
荒木の七海に対する嫌悪感はさらに増していた。師匠いのりがいなかったら怒りで斬りかかっていたかもしれない。
「それは反省してるけどやっぱり感情の起伏ってあるじゃん。」
相変わらずの精神年齢幼稚園児ぶりに荒木は言葉を失う。
「それよりあなたはこれからどうするの?」
まるでもう勇者の役目が終わったかのような聞き方である。
「来たるべき日に備える。」
荒木はそう遠くない未来を第六感で察知していた。
ー第2章完ー




