心なき正義
大盗賊ケイトは亜人迷宮の最深部近くまで到達していた。探索系能力に特化している自身にとって迷宮の分岐など直線の道に等しかった。
最深部の手前に広めの空間がありそこでケイトは足を止める。
「神ノ間ニ巨悪ガ侵入。殲滅セヨ。」
ガラクタの塊のような物体が無数に現れた。その物体は部品をケイトに向かってに飛ばしてくる。部品は無ずうの刃となりあたり一面に降り注ぐ。
ケイトは異世界時代に盗んだ独自能力完全消滅を発動し、手を振ると攻撃はすべて消え去った。
「やっと手ごたえのある相手が来たな。」
ケイトは心を躍らせる。以前はともかく異世界と現実であらゆる能力を盗んだこの大盗賊にとってまともな戦闘は久方ぶりであった。
敵達は魔分の塊を中心にガラクタのような手足を生成している。敵達の姿はガラクタのような手を伸ばしケイトと取り囲む。
「巨悪ヨ。大人シク滅ベ。」
ケイトはそのガラクタを一方の手でいなすともう片方の手で職能力魔分奪取で敵の魔分を吸い尽くす。
「グアー。卑怯ナ。」
敵は断末魔を上げるがまた次の敵が精製される。
「これはキリがないな。零海!チカは来ているか。」
「あと1時間ぐらい。わかんないけど。」
零海は自信なさげに答える。
「ちょうど飽きる頃には来そうだな。」
ケイトはその手で敵を倒し続ける。
「何故正義ニ屈シナイ?」
「何言ってるわかんねーけど魂のねえ奴に負けるわけねえだろ。」