断罪の恐怖
新と神奈はとある屋敷の目の前にいた。その屋敷は和風の邸宅を思わせる造りをしていた。
新がインターホンを鳴らすと使用人らしき人の声がした。
「どなたでしょうか?」
「我は新。手塚充に表に出るように伝えろ。」
新は借金を取り立てに来たやくざのような口調で要件を伝える。
インターホンが切れ、目の前に目的の老人らしき影が現れる。
「新様。お初にお目にかかります。あといつぞやの罪深き小娘も。」
神奈は新の後ろに隠れて震えている。
「貴様。仮にも天井人の我に姿を現さないとは失礼ではないのか。」
「最近は命を狙われることも多いのでお許しを。それより、展示会がなくなって亜人たちの交流の場がなくなっております。展示会の復活にお力添えいただけないでしょうか?」
老人の影は頭を下げる。
「我には時間がない。出てこないなら最上級魔法絶対可侵で侵入するまでだ。」
絶対可侵は下位種族のつくる空間に侵入することができる。すなわち天井人の新にとって隠れることは無駄である。
新が詠唱を終えるとモノクロのごつごつした空間が広がっていた。そこには目標である手塚の姿があった。
「まさか新様が直接お相手をすることはないでしょうな?」
「いや、貴様を討伐するのは縫目神奈だ。」
神奈は恐る恐る手塚の方を見る。
「なるほどその小娘が。しかし私に分がありますぞ。」
手塚は手のひらに秤を乗せた。
「これは私の職能力審判の秤。お前の罪の大きさにおおじて直接ダメージを与える。」
神奈の表情は青ざめる。その秤は大きく傾き神奈は悲鳴を上げる。
「お前の罪は善意の結晶を回収したことだ。万死に値する。」