嫌悪と対立
都市部から離れた場所に別称「亜人街」というものがあった。異世界人達の討伐から逃れるため、交戦意欲の低い亜人は人口密集部から離れた小都市を好むようになった。この都市を裏で牛耳る亜人を倒すため信仰者神奈と武闘家くろが派遣された。
「このビルの最上階に亜人、野上才人はいるの。」
IMYUの声が聞こえる。
「野上才人を倒せば研修期間終了よ。」
神奈はビルを見上げる。そこそこ高い50階建てほどのビルであった。ビルの周りには機械のような物体が浮かんでいた。恐らく内外に迎撃システムがあるのであろう。
「縫目神奈さん。わたしはあなたを認めない。この亜人はわたしが倒す。」
くろはそう言い残すとビルを凄まじい速度で駆け上がる。
「私。結構嫌われているね。もと亜人だし当然だけど。」
神奈は最近覚えた初級魔法飛翔を唱え、上に昇る。
「くろはわかってないの。気にしないほうがいいよ。」
IMYUは神奈が欲しい言葉をかけてくれる。
神奈は上級魔法大天使降臨を唱え。その光で機械の目を眩ませつつ。最上階にたどり着く。最上階には強い魔分をもつ者がいる予感がする。
最上階に到達するすると高級そうな椅子に座る中年と壁に磔にされたくろの姿があった。
「放しなさい!」
くろはもがくが壁から離れられない。
「この平和な街で野蛮な行いを企てた愚か者たちよ。」
中年野上才人はこちらを見る。
神奈は最上級魔法聖域展開を唱えつつ野上才人に近づく。無数の罠が発動し神奈を拘束しようとするが聖域に阻まれる。
「その魔分、お主はこちら側であろう。どうして牙を向く。」
野上才人は神奈がもと亜人であることを見抜いているようだった。まだ余裕があるらしく席に着いたままである。
神奈は不快感を覚えつつ大天使で空間の罠を払う。しかし、いつの間に大天使は真っ二つになっていた。
「間に合ったか。我が精鋭たちよ。」
野上才人を戦士の姿をしたロボットたちが取り囲む。
「職能力機械精製で無限に戦力を生み出せるみたい。」
IMYUは説明する。
神奈は高位天使降臨を唱えロボットたちに光の刃を浴びせる。しかし、ロボットたちは1体1体が硬くロボットをきざむことができなかった。ロボットたちの反撃で高位天使は崩れ去る。
神奈があきらめかけたとき、目の前に聖剣をもった年上の女の人が現れた。その人は職能力聖なる一閃を発動させロボットたちを薙ぎ払う。
「ターニャやるねえ。」
高性能案内アプリ零海の声がする。
「今日こそ借金を返すんだから!」
その人は気合の入った声を発する。




