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リアル・セイバー  作者: しき
第2章
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天井人

 いのりと縫目神奈は古びたアパートの101号室にいた。ここまでの道のりはよく覚えていない。気づいたら部屋の椅子に座っており、目の前にパソコンの画面を見ている年上の女の人がいた。

「はじめまして神奈ちゃん。あたしは浦川七海。わかりやすく言えば「混沌」をつかさどる天井人よ。よろしくね。」

 天井人についてはネアンから聞いたことがある。人知を超えた存在であり世界の支配者である。ネアンは天井人であるだけでなく亜人でもあり、亜人たちをもって世界の秩序を保とうとする考えを持っていた。そして「混沌」ということは対になる存在なのだろう。

「まあ、対になる天井人のせいでただ神技がつかえるだけのお姉さんなんだけど。」

 神技とは神の御業である。特に魔分や体力の消費なく使える理不尽な技である。浦川七海は神技「文明錯誤」により未来の技術を使用することができるといのりが教えてくれた。会話代行アプリIMYU(イミュ)がその一例だ。

「神奈ちゃんにはいのりちゃんと協力して亜人退治をしてほしいの。S級亜人なら50億ぐらい報酬が出るの。」

「え!」

 神奈は目を丸くする。

「ただ研修期間中は師匠であるいのりちゃんの報酬になるから一人前になれるように努力することね。」

「わかりました。ただ、戦闘とかしたことなかったのでどうすればいいんでしょか?」

 神奈は素朴な疑問をぶつける。

「わたしにまかせろー」

 いのりが魔法を発動させると神奈は空間のはざまに吸い込まれた。行きついた先は見たことのない世界だった。

「空が赤い?」

 神奈はあたりを見回す。草原が広がっておりこの世のものではないものが生息している。山羊に似ているがそれらはどす黒い魔分を放っていた。

「ここは魔界。魔物たちの最後の楽園だよ。」

 いつの間にか手元にあった携帯端末から会話代行アプリIMYU(イミュ)の声が聞こえる。

「今回の魔物は暗黒山羊(ダーク・シープ)相手の強さによって自身の強さを変えるの。」

 携帯端末の画面に知らない言語の文字列が映し出させる。

「これを読んでみて。」

「しうめどら。」

 神奈は適当に読んでみたら自身の魔分から炎が作り出され暗黒山羊(ダーク・シープ)の群れを襲っていた。しかし、暗黒山羊(ダーク・シープ)のどす黒い魔分に弾かれ跡形もなく消えていった。

「これが初球魔法揺らめく炎(フレア)よ。この程度なら次は無詠唱で使えるはずよ。」

 敵意に気付いた暗黒山羊(ダーク・シープ)の群れが襲い掛かる。神奈は揺らめく炎(フレア)で壁をつくるがやすやすと突破される。

「こいつら強すぎない?」

 神奈は走って逃げだしながらIMYU(イミュ)に助けを求める。

「敵はあなたの強さが鏡写しになってるの。全力を出さないと。」

「全力出してるよ!」

 神奈は走るのに全力をだす。しかし、特に足が速いわけではないのですぐ敵の群れに囲まれる。

 また、携帯端末の画面に知らない言語の文字列が映し出させる。今度は少し長めであった。

「れごみなふせこしたくとご。」

 神奈は焦ってまたしても適当に読む。特に文字が読める訳ではないので気分で発音を決める。

 唱えたとき、自身の周りに透明の壁ができて敵の進行を防ぐ。しかし、敵の突進により壁にひびがはいる。

「ぎゃー!」

「初級魔法障壁(ウォール)よ。守ってばっかりじゃ勝てないよ。」

 IMYU(イミュ)は冷静なコメントをする。

「アドバイス、アドバイスください!」

「あなたの「才」に問いかけなさい。」

 神奈は目を閉じ自身に問いかける。特に積み重ねたものはなかったが。誰よりも救いを求めていた。「才」が成長分岐(ダイバージェンス)に注がれ(ジョブ)信仰者が発現した。

 神奈驚くほど自身に力を感じた。今度は自分の意志で頭に浮かんだ言葉を唱える。

「上級魔法大天使降臨(アークエンジェル)ね。ビリビリくるね。」

 IMYU(イミュ)はうれしそうに呟く。

 信仰者は最弱職でほとんどの(ジョブ)保有者は祈ることぐらいしかできない。しかし、神奈の破格の魔分量と職能力(ジョブスキル)天界門(ヘブンズ・ゲート)により、天使降臨系の魔法を使用できるようだ。

 神奈の目の前に降り立った大天使(アークエンジェル)は光の雨を降らせる。どす黒い魔分は消え去り敵の群れは散り散りとなる。

 神奈はまた空間のはざまに吸い込まれる。神奈は以前より自信に満ちた表情をしていた。


 








 

 

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