展示会
展示会
展示会の運営メンバーの1人である堤信吾は困惑していた。
運営メンバーにしか明かしていない事務局に予告状が投函されていたのであった。
「〇月×日、あなたたちの罪を裁く。」
その日はちょうど展示会の日付けであった。
堤信吾は亜人に広く知れ渡っている展示会の日付よりも数人しか知りえない事務局の所在が明らかになっていることに恐怖を覚えた。慌てて、手塚充に通信を行う。
「手塚さん。いかがしましょう?」
堤信吾は状況を伝える。
「恐らく奴らはすべてを知っておる。どのみち会にはあの方も出席されるから正面から迎え撃つしかない。」
「やっぱり中止とかはできないですよね。」
「とにかくお前にできることは防衛できる面子を整えることだけだ。」
亜人全員が展示会に出席する訳ではない。亜人には活動の自由が広く認められており人間と変わらず生活を営むものも多かった。しかし、この非常事態を乗り切るにはそうったものにも声を掛けて回るしかない。
堤信吾は登録されている亜人リストをパラパラめくる。登録されている亜人は1000人近くいるが亜人の強さの情報が不足していた。亜人には爵位があるがあくまで悪意の結晶の回収数によるもので実力ではない。そこで短期間での回収数を参照したところ、とある名前が浮かび上がる。
徳永王司。習得職「王」となっていた。現実において王制の社会など存在しないので不気味に思えたがもし本当なら当たってみる価値はある。
王と勇者が相まみえるまであと3日もなかった。




