反逆者
反逆者
「こいつはチカ。魔獣使いだ。」
廃屋にてターニャが出会ったのは7歳程度の少女であった。
「ケイト!最終決戦以来じゃない。あとだれ?このおばさん。」
「ターニャです。よろしく。」
ターニャはムカッとしたが大人の対応をとった。
「ところで最終決戦ってもしかして。」
「おれたちは反逆者のメンバーだ。」
反逆者とは人間でありながら勇者一行を妨害した者たちだ。当時は指名手配もされていたとも話には聞いていた。最終決戦とは魔王討伐前に起こった勇者一行と反逆者との大戦であり、英雄譚では反逆者があっさり敗北して壊滅したと語られていた。
「反逆者って生き残ってたの?」
「あんた英雄譚を信じてたのか?あれは作り話だ。実際は勝敗がつかなくて賢者の提案に乗って撤退しただけだ。」
ケイトは愉快げに話す。
「それより、あんたの修行だ。チカ頼んだぞ。」
「あいよ。覚悟はいい?おばさん」
チカは職能力発生を発動させる。ターニャの周りを形のない煙のような魔獣3体が取り囲んだ。
ターニャは剣を構える。
飛び掛かる魔獣に対し剣を振り下ろすもあっさり躱され顔面に直撃する。ターニャはその場に倒れこむ。
「おばさん弱すぎ。もう終わり?」
チカがナチュラルに煽る。悪気はないらしい。
「こんなところで終われるものですか!」
ターニャが立ち上がる。その姿には強い意志を感じる。
ターニャの剣に光が宿る。どうやら職能力退魔の剣が発現したようだ。今度こそターニャの剣は魔獣を捉え、切り裂いた。
「やった!」
ターニャは魔獣を倒し終えると喜びの声を上げた。しかし、今度は四足歩行の形をした魔獣が現れ、魔獣の突進により吹き飛ばされ気絶した。
「生意気。」
どうやらチカの癪に障ったらしい。
こうして毎日、ターニャは修行1割、サンドバックにされるのが9割の生活が始まった。