【400文字作文】 土曜の夜 日曜日の朝。
男の手だけが印象に、残っている…。
土曜の夜、私は街の路地で、売春婦のマネ
ゴトをしている。
路地で声を掛けてくる男達は、条件だけを
言ってくる。自分の職業を言う男なんかいな
い。その路地では、みんな正直なタダのオト
コだ。そう感じることで私は、安心できた。
首を横に振らず、ホテルの部屋まで連いて
いったのは、その男が初めてだった。
部屋のソファに座っている私に男は服を脱
ぎながら、人間は排出することで快楽を得る。
みたいなことを話しだした。
涙、ハナミズ、声、汗、オシッコ、涎、そ
れと…と男が言った時、私は自分が売春婦で
はないことを打ち明けた。
男は、ソファに座っている私の前にゆっく
りと跪き、それと…と、言葉を続けた。
「嘘と真実。」
男は私の頬を、二度打った。
柔らかくて懐かしい、優しい手、だった。
【400文字作文】 土曜の夜 日曜日の朝。