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陰陽寮 ???
◆◇◆
「なるほどなるほど・・・・・饕餮は消されましたか。」
男は窓の外を眺めながらつぶやいた。
開け放たれた窓の外には、明り一つとしてない闇が広がっている。新月の今宵、純粋な夜の風が心地よい。男は夜風を体内に取り込むよう、大きく息を吸い込んだ。
先日、饕餮の存在が消えるのを感じた。
(―――愚か者め。)
一つの“霊魂”を分け合った身として、何も思うところがないわけではないが、それ以上の情も湧かない。むしろあの男のやり方は気に食わなかったから、済々した気分であった。
主からの命にそむき、己の欲望のままに動いていた饕餮。その強欲さは目に余るものがあった。
消されて至極当然のこと。
だが、自分はそんな馬鹿な片割れと違う。
『混沌』の名に恥じぬよう、この世界を混乱に満ちたものに変えて見せよう。
「全ては、あの方復活のために。」




