異世界で住み込み始めました。
私の一日は早い。
太陽が昇る少し前に起き、支度をする。
調理場に向かい今日のメニューを確認する。
朝のメニューは一種類なので、前日に下準備しているものに火を入れたりお皿に盛っていく。
朝の鐘が鳴ると先ほどまで静かだった学園は少しづつ騒がしくなる。
そろそろみんな来るかなと器にスープを注いでいく。
今日のメニューはサラダにベーコン、バターを塗ったパンに卵スープ
ドレッシングはレモンでさっぱりしたのと、醤油ベースのものを。
「「「おはようございまーす!!」」」
低学年の子供たちが元気よく挨拶しながら食堂へはいってきた。
私は、「おはよう」と返しながら朝食を渡していく。
私、山田悠里はランドグ学園の食堂で住み込みのバイトをしています。
なぜ異世界でバイトしてるかというと今から2か月前のこと。
定食屋さんでバイト帰りに車に轢かれて気付いたら見たこともない世界でした。
城の広場で召喚されたようで王様や騎士や魔法使いみたいな恰好した人たちがいて「日本語伝わるの?」とか動揺してよくわからない事を言っていたと思う。
結局日本語は通じて(日本語とは言わないそうだが)安心したら周りの反応が重くなった。
なんでもすごいスキルを持った人が来るという予言があったのに私にはスキルのスの字も見当たらなかったらしい。
元の世界に戻ることもできず、この世界で暮らすしかないとなり、でも行くところもないのでどこかで住み込みで働けとのことになった。
勝手に呼んどいて、勝手にがっかりして、結果自分で就職先探せって酷くない?
ギルドに行けば求人があるからとギルドまで運んでくれ、100ギルだけくれた。
送ってくれた眼鏡のお兄さんは同情の目で「頑張ってください。」とだけ言って帰っていった。
ギルドに入ると武装した人や普通の格好の人など色々いた。
受付に行き要望を出すとさっき出た求人だと出されたのがランドグ学園の食堂の求人だった。
その足で面接に行き、実技試験のジャガイモの皮むきをし見事合格をもらったわけである。
ランドグ学園は日本でいう小学校のような所で町から少し離れた所に学校はある。
1年生から6年生がいて、貴族と平民で分かれていて基本的にみんな寮生活をしていて、私の担当は平民食堂でマリアさんというおばさまと一緒にご飯を作っている。
最初の1か月は二人で朝昼夜を作っていたが、慣れてきたので今は朝だけ一人で担当させてもらってる。
そんなわけで、私はこの世界で食堂のお姉さんとして働いているのです。