第4章 チューコとクラスメイトになるの嫌だ。
俺はチューコに声をかける。
「あっちにクラス発表の掲示板がある。早く行くぞ」
俺達は掲示板の前に移動した。1年生のクラス別に名前が記載されていた。
それを見たチューコが、両手を上げてピョンピョンと跳ねて喜ぶ。
「わーい、兄様と同じクラスだ。1年A組です」
「うわっ、マジかよ……最悪だ。いや、マジで」
なんか、面倒な事になりそうだぜ。俺はチューコに伝える。
「とりあえず、入学式に行くぞ。その後はクラスで自己紹介があるから、無難にこなせよ」
俺達はテクテクと体育館の方へ歩く。掲示板の所には在校生が数人いて、入学式の会場である体育館への案内をしている。
俺は当然ながら、2年目なので体育館の場所は把握している。掲示板の近くの入り口から校舎に入った。それから、俺達は体育館に入った。そこには200人近くの新入生、250人近くの保護者が来ていた。入口から一番奥には、校長先生のスピーチする演台がある。
演台の前には新入生がパイプ椅子に座っている。その後ろに、我が子を一目みようと保護者が立っている。もう泣いている親もいるみたいだ。だが、俺には親はいない。その話はのちのちに話す事にしよう。
その時、眼鏡を掛けた若いスーツの女性が大声を出していた。年齢は20代前半位だろうか、プラ製のメガホンを持って声を出している。
「石川モンゴくん、小塚原チューコさんいますかー? いないのかなぁー? うーん、どうしようかしら?」
俺達の名前が呼ばれている。もう、みんな揃っているようだ。掲示板の前でグダグダしていたので、俺達が最後なのかもしれない。
俺は眼鏡の女に声を掛けた。
「はいはい、石川モンゴです。こっちが小塚原チューコです」
それを聞いて若い女はホッとしたように声をだす。
「間に合って良かったですね。私は1年A組担任の寺小屋一寸子です」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
まあ、ドジっぽい印象だが、可愛い童顔の女性だ。黒ぶちの眼鏡が更に幼い印象を与える。着慣れていない黒スーツから見ると、去年まで大学生だった感じかな?
そして、俺に耳打ちをしてきた。
「あなたがモンゴ君だね。前任の先生から聞いています」
「そうですか、留年している件ですよね?」
「ええ、安心して大丈夫です。先生がクラスメイトと仲良させるからね。
だから、留年を引け目に感じなくてもいいのよ。とりあえず、入学式頑張ってね」