表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/53

第44章 モモチ VS ナガト(因縁の対決)

その時、ナガトに目がけて、3枚の小判が飛んできた。しかし、ナガトは小判を刀で、キンキンと叩き落とした。


小判が投げられた方向を見ると、チューコが立っていたのである。

「兄様、大丈夫ですか?」

「ハアハア……。それより、リアンはどうした?」

「英戸リアンさんは外に逃がしましたよ。おそらく、警察に駆け込んでいると思いますよ。これで、ギゾクーズの冤罪は晴れますよ。えっへん」

「よし、よくやったぜ。へへへ」


ナガトの興味はチューコに移る。

「そういえば、童女もいたでありんすね」

「よくも、兄様を傷つけてくれましたね。おこおこ」


チューコは素早く、両手をグルグルと回して、大量の小判を投げつける。しかし、ナガトは全ての小判を刀で弾き落とす。


だが、意外にもナガトは褒める。

「童女、コントロールは中々でありんす。だが、わっちには勝てないでありんせ」

ダメだ、ダメだ、チューコじゃ勝てない。実力のレベルが違いすぎるぜ。


しかし、英戸リアンを救出して任務は達成された。だから、俺に出来る事はひとつだけだ。


俺は大声をあげる。

「おい、チューコ。俺を置いて逃げろ」

「そんな、出来ないですよ……兄様」

「おい、兄弟子の命令だぞ。2人とも、死んだら意味ねえよ。モモ姉とチューコで、ギゾクーズを続けてくれ……。じゃあ、後は頼んだぜ」

だが、チューコはブンブンと首を左右に振って拒否する。


俺はナガトと目が合う。

「少年、モモチの居場所を言わないなら、この童女の首を切り落とすでありんすよ」

「まっ、待て、待てよ。言うよ、ここに来るよ……」

「嘘はダメでありんすね」

そう言うと、チューコに向かって抜刀の構えをする。俺はナガトを止める。


ヤバい、チューコが殺されちまう。どうする? どうする?


とりあえず、大声出すしかない。

「マジだって、マジで来るよ」

だが、ナガトは返事をせず、チューコに向かって走り出した。

「くそったれがぁー」


その時、俺は聞き覚えのあるバイク音を聞く。すると、階段からバイクが飛び出してきた。もちろん、乗っているのはモモ姉である。おいおい、階段をバイクで昇ってきたのか? まるで、ハリウッドのスタントマンみたいだぜ。


モモ姉は状況を、素早く把握したようだった。そして、バイクを軽々と操って、チュートとナガトに間に割り込む。モモ姉は右手のみで、ハンドルを操作して、左手に握りしめた日本刀をナガトに向ける。


だが、ナガトは信じられないスピードで抜刀した。しかし、モモ姉はナガトの斬撃を受け止めると、心地の良い斬撃音が聞こえた。まるで、刀で挨拶をしたようだった。2人はお互いに刀を押し合っており、2人とも手がカタカタと震えている。


その沈黙を破るように、第一声を発したのはモモ姉だった。

「相変わらず、腕力が弱いな。ナガト、腕一本で十分だぜ」

「モモチ、生きていて嬉しいでありんす」

「私は嬉しくねーよ。まあ、お互いに簡単に死ぬタマじゃねえな……」


モモ姉は刀を裁いて、ナガトに向かって日本刀を振り下ろした。だが、ナガトは後ろに下がって、鋭い斬撃を避ける。そして、更に後ろに逃げようとするが、モモ姉は逃がさなかった。


まるで、バイクを戦国武将の馬のように操って、ナガトの周りをクルクルと走りながら、日本刀でガンガンと突きまくる。ナガトは360度の方向から来る、突きの攻撃を裁いていた。バイクのエンジン音と、刀の斬撃音がフロアに鳴り響いていた。


やっぱり、モモ姉は強いな。あの化物のナガトを追い込んでいるのだから……。しかし、ナガトも負けてはいない。バイクを止めようと、前輪のタイヤを刀で突こうとする。しかし、モモ姉は自慢の運転テクニックで、バイクの前輪をウィリーで浮かして、ナガトの素早い突きを避けた。


すると、一瞬動きが止まった瞬間を狙って、ナガトは蹴りでバイクを押し倒そうとした。モモ姉は一瞬グラつくが、右足を床につけて、倒れないようにバランスを保つ。そして、アクセルターンで方向を変えて、こっちに走って来たのである。


俺の目の前で、バイクが急ブレーキ音と共に停まる。モモ姉はエンジンを切って、その場でバイクを降りた。


そして、心配そうな顔で声をかけてきた。

「モンゴ、足がとんでもない事になっているじゃねえか?」

「ハアハア、大したことねえよ……」

実は凄く痛いのだが、モモ姉の手前なので、見栄を張ってしまったのである。よくある、男子高校生のくだらないプライドだ。本当はくそ痛い。


それをモモ姉が見抜く。

「いやいや、大したことあるだろ。モンゴ、無理はすんな。お前らには、ナガトは荷が重すぎるぜ。私がぶっ殺してやる」

モモ姉なら、ナガトを倒せる可能性は高い。俺の心は安堵に包まれて落ち着きを取り戻した。


モモ姉は大声を出す。

「チューコ、モンゴの手当てをしてくれ。致命傷じゃないから大丈夫だ」

「モモ姉さん、了解です」

そう言って、チューコはこちらに走って来た。そして、巾着袋から包帯を取り出して、傷の手当てを始めてくれた。


モモ姉はチューコに聞く。

「人質のリアンはどうしたっけ?」

「もう、ビルの外に逃がしました。今頃は警察に自首しているかと……」

「ナイス、チューコ。後は任せろ。まずは、ナガトを倒すぜ。それから、モンゴをバイクで病院へ連れていくよ」

「はい、分かりました。でも、モモ姉さんも死なないでくださいね」

チューコがニコニコと笑顔を見せる。


そして、モモ姉はナガトの方へ歩き出す。

「おい、ナガト。なんで私にこだわるんだよ」

「モモチの狂気に満ちている所が好きでありんす」

「おいおい、愛の告白かよ……」

「そうでありんすよ、わっちはモモチの事が好きでやんす。だからこそ、他の奴に殺されるのは我慢出来ないでありんす」


なんだ、あのナガトって奴は目が恋する乙女じゃねえか。クレイジーサイコレズだったのか? 俺は2人が裸で抱き合いながら、キスをしている所を妄想してしまった。


そして、俺を見たチューコは心配する。

「兄様、鼻血が出ていますよ」

「ははは、これは大丈夫だ」


俺は手当てを受けて少し落ち着いた。とりあえず、チューコが止血してくれたら、まず死ぬことはない状態だ。だが、1歩も動けない状況には変わりない。情けない話だが、モモ姉が勝ってくれる事を祈るしか出来ない。


 モモ姉はナガトに問いかける。

「おい、心が病んじまったのか? 小さい頃は泣き虫だったくせにな……」

「ふっ、変わったのはモモチでありんす。昔はもっと鋭い目つきだったやんす。わっちの憧れだったでありんすよ。あの頃のモモチは……」

「もう、忘れたよ。昔の事だよ」


すると、ナガトは三度笠を上げて、エメラルド色の鋭い目で睨む。

「散々、人を殺しておいて忘れるとは、随分と都合が良いでござんせ。わっち達は人殺しでありんす」

「いや、分かっているさ。私もいずれは、誰かに殺される覚悟は出来ているよ。沢山の人を殺してきたわけだしな」

「まあ、理解しているなら、わっちが殺してあげるでありんす。まあ、幼馴染のよしみでやんす」

「ナガト、ありがとよ。けど、私も師匠の仇を討たせてもらうよ。7年前の決着をつけようぜ……」


ナガトはカッと目を見開いた。

「勝った方が正義でありんせ、モモチ……」

「分かっているぜ、ナガト来いよ……」


モモ姉とナガトが互いに抜刀の構えをする。構えからして、お互いの必殺技の派遣斬りとかって技だろう。おそらく、2人の実力は互角ってところだ。つまり、油断やミスをした方が死ぬ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ