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第37章 決闘は廃墟ビル

モモ姉は一息をついてから喋る。

「モンゴ、チューコ、聞いた通りだ。○☓ビルで決闘だ。おそらく、向こうは本気で来るから、特殊部隊カロウシを使ってくるだろう」

「まあ、やるしかないな」


俺は一つ疑問を持った。

「モモ姉、これが罠の可能性もあるだろ? 行ったとたんに警察が待ち構えているかもよ……」

「いや、それはないだろう。向こうも英戸リアンを監禁している以上は、警察とは関わりたくにないだろう。それに、豊臣もギゾクーズを株主総会の前に潰しておきたいはずだ。向こうも、相当焦っているはずさ」


そして、モモ姉は強い口調で喋る。

「それに、私達は英戸リアンを自首させる以外に、助かる方法がない。罠でも行くしかないよ」

「そうだな、行けば分かるな」

「ああ、今回は私も動くから安心しろ」


モモ姉が動くって事は、殺し合いになる可能性があるからだろう。俺も何度か戦っている所を見たが、あれは化物クラスだった。ホント、味方で良かったぜ。だが、カロウシにも化け物がいると、この時は知らない。


チューコのポニーテールが跳ねて喜ぶ。

「わあ、モモ姉さん来るんですか? 嬉しいな。ワクワク」

「ああ、だが先に2人で行ってくれ。私はちょっと寄るところがある」

「ああ、分かった、俺とチューコで先に行くよ」


俺はモモ姉のノートパソコンを借りて、決闘場所の凹凸港の情報を調べる。凹凸港は新宿から、電車で1時間半位の場所にある。


過疎化の土地開発を行われるはずだったが、建設会社の資金不足により中止になり、現在はゴーストタウン化している。廃墟になった建物などが多く、指定の○☓ビルも未完成の建物らしい。その手のマニアなら有名なビルであり、人がいなくて決闘に持ってこいの場所なのだ。


パソコンで写真を見ても、大きなビルは1つしかないから場所を間違える事はないだろう。


チューコが手を上げて質問する。

「はぁーい。モモ姉さん、敵は何人位でしょうかね?」

「仲間の情報だと、カロウシは全員で100人位らしい。でも、全員を動かす事はないだろう。まあ、用意しているのは10人位じゃないか?」

「俺もそう思うぜ。他の仕事をしている奴もいるはずだからな……」


モモ姉が口を挟む。

「ああ、たぶんね。でも、もうビルに潜んでいる事は間違いない。地の利は向こうが有利って事だよ。あの狡猾な豊臣なら、こういう事になる状況も想定しているだろう」

「まあ、これ以上は考えても仕方ないな。俺達はとりあえず行くよ」

「ああ、英戸リアンの証言が不可能だったパターンも考えているよ。頭領と相談して、六木が加害者という証拠を集めておくよ。とにかく、今回は時間との勝負だぜ」


あんま良く分からないが、頭の良いモモ姉の事だ。何らかの対策を考えているのであろう。それはモモ姉に任せておけばいい。俺は自分の仕事をするだけだ。


モモ姉は火打ち石を出して打ってくれた。

「モンゴ、チューコ、死ぬなよ。カロウシが強かったら逃げろ。家族が死ぬこと程に辛い事はないからな。私もモンゴもチューコも本当の家族は死んでしまっている。でも、みんなで暮らして7年だ」

「そうか、7年も経つんだな……」

「だから、私は2人を本当の家族だと思っている。だから、絶対に死ぬな」

モモ姉がガチで心配しているので、今回の敵は相当強いんだろうな。


俺はモモ姉を心配させないように余裕ぶった。

「ふっ、大丈夫だ。密かに必殺技をマスターしたからな。空を飛ぶ技で、カロウシもぶっ飛ばしてやるよ。俺はスーパーマンのように空を飛ぶぜ」

「空を飛ぶ? モンゴ、変なクスリでもやっているんじゃねえだろうな?」

「いやいや、やっているわけないだろう。まあ、任せておけ」

俺は必殺技の修行をしていたのだ。それは空を飛ぶ技だ。


モモ姉が溜息を吐く。

「まあ、とにかく無茶はするなよ……」

「あいよ。じゃあ、とりあえず行ってくるわ」


これから、2時間後には殺し合いが始まっているのだ。俺も気合を入れて部屋を後にした。

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