第9章 ブキコー新聞部にようこそ
俺は校舎に入り、部室が入っている建物に移動をする。生徒達は部室搭と呼んでいる部室専用の建物である。2F建てのマンションのような外見をしているのである。
見た目は古く、昭和時代の産物だ。1Fが運動部エリア、2Fが文化部エリアである。入口に入ると、教室より小さい部屋が10室、マンションの部屋のように並んでいる。俺は2階への階段をカツカツと音を立てて登っていく。それから、2Fの一番端にある新聞部の部室に向かった。
表札には新聞部と楷書で書いてある。ルリが筆で書いた字であり、書道部並みの上手さをほこっていた。俺はドアの扉を開いた。
入口から真正面は窓があり、森林の景色が広がっていた。20畳くらいの部屋で、左右には本棚がギッシリ並んでおり狭く感じる。様々のジャンルの本がキッチリと置いてある。
他にも資料が所々に乱雑に置かれていた。中央には四角い長机があって、その周りにはパイプ椅子が適当に置いてある。そこには、ルリも座っておりノートパソコンのキーボードを打ちこんでいた。何か調べものでもしているのだろう。
俺に気が付いたのか、こっちを見ながら声を掛けて来た。
「ノックくらいしてよ、モンゴ君。ビックリするでしょう?」
「ああ、悪いな……ルリ」
「今日から、また1年生をするのね」
「ああ、近松先輩って呼んだ方がいいか?」
その答えに、ルリが噴き出して笑う。
「アハハハハハ、ルリでいいわよ。今まで通りでいいわ」
口を押えながら笑う姿は可愛かった。サラサラのロングヘア―にパッチリ二重で、やっぱ学園のアイドルだけあると思う。
たまに、部室で屈むとブラが見える時あり、俺は興奮してガン見してしまうのだ。凄くやりた……いや、あかんあかん……。それくらい可愛い外見をしているのだ。いや、マジで。さて、ギゾクーズの件をどこまで掴んでいるか聞いてみるか。
とりあえず、ルリと向かいのパイプ椅子に腰を下す。俺は適当に雑談から始める。
「いやー、在校生の挨拶は良かったよ。1年生男子はメロメロだったよ。
また、ファン増えるんじゃないか? いやー、美人は得だねえ。羨ましいねえ(笑)。俺も部活が一緒でテンションが上がるぜ」
「何か嫌な事でもあったの?」
「えっ、別に何もないけど……。なんで?」
「だって、嘘ついているからよ。モンゴ君は何か嫌な事あった時ほど、軽いノリで誤魔化す傾向があるわ。だから、本当はテンションが低いんじゃないの?」
うっ、図星を突かれている。嘘がルリには通じないのである。確かに、モモ姉と喧嘩をしてしまったので、現在のテンションが低いのは事実だ。
「まあ、正解だ。さすが、美人ジャーナリストだね。というよりも刑事みたいだね。凄い、凄い」
「それより、モンゴ君に聞きたい事があったの。ねえ、ギゾクーズについてどう思う?」
おっ、向こうから本題を振ってきてくれたぜ。これはラッキーだな。だが、ルリと話すときは気を使っている。なぜなら、刑事くらいの洞察力があるからだ。俺はいつも悟られないように、嘘と真実を混ぜながら会話をしている。
そうしないと、なんでも暴かれてしまう気がするのだ。つまり、洞察力が高校生離れしているのだ。その理由はルリがテレビで取り上げられた事件があったからだ。それは1年前に遡る。




