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今日も彼に逢うことはできるだろうか。
期待と不安で上がる心拍数。1つ深呼吸をして、彼の姿が見える曲がり角のほうに視線を向けると、丁度彼が歩いてくるのが見えた。
ああ、なんてラッキー!
今日も朝からその姿を見ることができたのだ!
いつも通り彼の隣にはアイツがいるけれども!
「佐多くん!おはよう!」
駆け寄って成るべくかわいい笑顔を心がけて挨拶をする。
佐多君はちょっと驚いたような顔をした後におはよう、とそっけなく返した。
うーん、相変わらずだなあ。
「俺は!?」
「あー、おはよ奈良坂。相変わらず佐多君と一緒に登校ですか。なに、あっち系なの?
私オタクだけど腐女子じゃないのでそういうのは紗英の前でやってくれないかな。
きっと泣いて喜ぶよ。」
「佐多君俺と一緒に恋愛する?」
「絶対嫌だ。」
「ちょっとひどくない?これでも俺たち幼馴染だよ!」
「はいはい、奈良坂は他の相手見つけてね。だれも望んでないそんなの見せられるこっちの身にもなってよ。」
「お前こそ俺と佐多君の邪魔しないでよ。」
「は?だから佐多くんはそんなんじゃないんだってば。
大体こんなオタクな私とだれが恋愛したがるってんのよ。頭おかしんじゃないの?」
「いや別にそれはいるんじゃないか…?」
「いやいや佐多君まで何言ってんの。
あ、それより昨日のアニメで推しキャラがね!」
意味が分からない、と否定してみせると佐多君は軽く溜息を吐いて奈良坂に目配せしてそれに対して肩をすくめて答えた。