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終止符はいつ訪れる  作者: やづ
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初めての出会いはいたって平凡なことだ。


転校してきた私の隣の席が、彼だっただけ。


たまたま彼の家の鍵についているキーホルダーが私の好きなキャラだっただけ。


たまたま仲良くなって、気が付いたら私が好きになってただけ。


ああ、この「たまたま」はいつまで続くのかな。













ピピピ、ピピピ、という無機質なアラーム音と、鳴り響くお気に入りの歌手の曲。

ゆっくりと重たい瞼を開けると、視界に移るのはいつも通りの私の部屋。

ああ、ダメだ。眠い。このままもっかい寝てしまおう。

先程からうるさい目覚ましもいつかは止まってくれると信じて…



「こら、起きなさい!遅刻するわよ!」


遠くから聞こえてきた声にハッと目が覚める。

待て、今何時だ?


勢いよく起き上がり時計を見るともうすでに七時を回っていた。


「やっっっば!!!!!」



慌ててアラームを止めて、ウォークマンも止める。

何たる大失態。完全に遅刻である。


急いで顔を洗い身支度を済ませてリビングに入る。


「まみーなんでおこしてくれなかったの!!」


「起きなかったあんたが悪い。」

ため息をつきながらコーヒーをすするお母さま。なんて優雅。私も飲みたかった!!くそう!


もうテーブルに置かれて冷え切ってしまっているトーストを超特急で食べる。

ちらっとテレビを見て今日の天気と時間だけ確認。

ああ、何とか間に合いそうだ!



「ごちそうさまでした!」


食べ終わると次は歯を磨いて最後に鞄を持つ。


「いってきまーす!」


「いってらっしゃーい」


間延びしたのんきな声と、やっと起きたらしいパピーが歯磨きしながら答えた。



かしゃん、と家の鍵を閉めて歩き出した。



「おっと、今日はかまってあげられないんだ。ごめんね!」


にゃあ、と鳴きながらこっちに寄って来た野良猫達にも今日は悪いがお相手できない。

いつもはもうちょっと余裕があるから猫じゃらしで遊んであげているのだが。

なぜか私の家の前の路地は昔から野良猫が多くて、近所の人たちも特に気にせず過ごしているため年々数が増えている。ああ愛しきにゃんこたちよ、帰ってきたらいっぱい遊んであげるからね!


心なしか悲しそうににゃあん、と鳴く猫たちを振り切って全速力で信号を渡る。

そのまましばらく走って、もう大丈夫だろう、というところでやっと歩き出した。



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