後始末 ①
何が起きているのかがわからないままだ。
回収した欠片は、光こそ収まったが、魔力は残されている。
その欠片一つで、僕の全魔力量の数倍はありそうだ。
こんなものがもし、世界中に落ちてきてしまったのなら、その場所場所で、同じようなことが起きてしまう可能性は高い。
石を奪われたコヲトシという鳥は、元の大きさに戻った。
手のひらよりも小さな鳥が、あれほどまでの大きさになり、僕一人ではとても対処できないほどの脅威となったのだ。
空を見上げると、以前よりおとなしくなった太陽が僕を見下ろしていた。
落ちてくるなんていうことがなくてよかった。
けれど、欠片は依然空を舞い、いつ地上に落ちてくるのかわからない状況だ。
近くに落ちてくることがあれば、ある程度対応はできるかもしれないが――いや、対応といっても、その場に居合わせることくらいしかできないだろう。
手のひらを見つめると、昔の僕と何が違うのかがわからない。
魔法を知らなかった僕は、あさひに出会い、魔法士と魔法使いの合わさった中途半端な存在となった。
それでも《分岐する魔法》は、何にでも対抗できる確かな魔法に違いなかったはずだ。
今は使えない。
あの爆発以降――。
まるで電力を断たれた機械のように、あさひとの契約が切れてしまったのだ。
僕にはもう、自分の体を弄る魔法しか使えない。
お姉さんとの研究で、ある程度、自己強化だけの戦闘はできるけれど、また同じような怪物相手では限界が見えている。
僕は無力だ。
あの爆発はあさひのせいではない。
そう分かっていても、太陽の欠片がこれほどにも地上に影響を与えてしまったとあさひが知れば、嫌な思いをするに違いない。
「僕が止めないと」
太陽を守ることはできなかった。
せめて、この欠片で起きる事件は、僕が何とかしなくてはならない。
体がいくつもあれば、一度に何箇所も行くことができるのに。
悔やんでも仕方がない。
もう僕しかいないのだから。
僕だけが――。




