第03話 最強パーティ結成
マモルとアークは、その日ミリと別れ一度ラストゲトへと戻り、アークの両親の元へと向かった。
そこで、事前に決めておいた内容を、そのままアークの両親には伝えた所、次回からは出る前に、必ず帰る時間を伝えてから出ると言う事、マモルと一緒に行く事の2点が条件で改めて村の外への外出する許可が下りた。
マモルの方は、今日の出来事をジーニに伝えると激怒した。
「坊ちゃんはまだ8歳じゃないですか! 大人が危ないと言う様な所認める訳には行きません」
「大丈夫だって、どう証明すればいいかな?」
「でしたら私を連れて、村の外を出歩いて見てください。 もし、私を無事に外へ連れ出した状態で魔物の2、3匹でも狩れたのなら信用しましょう」
ジーニはそう告げたので、さっそくジーニを連れ村を出た。
しばらく森の中をジーニを気遣いながら探索していると、グリズリーを2、3匹ほど発見したので、全て素手でジーニが見ている前で殴り倒して見せた。
「坊ちゃん、一体何者なんですか?」
「ジーニを使役しているただの8歳さ」
マモルとジーニの間に、何とも言えない空気が漂い先にマモルが口を開いた。
「……ごめん、忘れて。 ただ、本当に強いから大丈夫だよ……」
「……はい、強いとは言っても気を付けてくださいね」
何はともあれ、ジーニの説得には成功し晴れて堂々と村の外へ出る事が出来るようになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それから、アークはマモルを家へ必ず迎えに行き、村の外へと行く事になった。
「じゃあ、ジーニ行ってくるよ」
「ジーニさん、行ってきます」
「2人ともいってらっしゃい、気を付けてくださいね」
マモルとアークはジーニの呼びかけに手を軽く振って答えるようにして村の外へと向かった。
いつもの切り株の場所でミリとは落ち合い、今日は何をしようかと考えた。
3人はしばらく困惑している中、ふとアークが思いついたと言う風にに言葉を切り出す。
「あのさ、僕らでパーティ結成しない?」
「いいわね、冒険者みたいね」
「俺はそういうのはごめんだ」
マモルの言葉は無かったものとして話は進む。
「意見は一致したね、じゃあパーティ名を考えよう。 僕はラブキューピットがいいと思う」
「可愛い名前だけど、冒険者っぽくないわね。 私は、地獄の殺し屋集団がいいわ」
「もはや、パーティ通り越して殺し屋じゃねーかよ! アークに至ってはラブキューピットってなんだよ? 誰と誰の恋を応援するんだよ?」
アークとミリは再び手を前で交差し、首を傾げながら唸り始めた。
「じゃあさ、愛と平和の狩人団はどう?」
「私はお命ハンターがいいと思う」
「まったく、お命頂戴みたく言ってんじゃないよ、アークに至っては愛と平和を狩るの? ねぇ狩るの?」
アークとミリは不機嫌な顔になり、マモルにケチをつけ始めた。
「じゃあさ、マモルが考えてよ。 さっきから文句言ってばっかりじゃん」
「そうよ、そうよいい名前出してみなさいよ。 いいと思ったらマモルをリーダーにしてあげるわよ」
「……お前ら、俺はお前らが会えるようにと配慮して、ここにいてやってるのに随分とふてぶてしくなってきたな。 まぁいい、じゃあ【ルアド】でどうだ? 俺ら3人の名前を1文字づつ取ったんだが」
(ってあんまり俺も捻りがないな。 人の事とやかくは言えないか……)
アークとミリの反応を見るが、肩を震わせて何だか納得いかない様子かに見えたが、2人の発した声は思いのほか弾んでいた。
「いいね、それ! 僕らしか思いつかないパーティ名だよね?」
「うんうん、それいい。 私達だからこそ付けられる名称だもんね。 いいわ、マモルが今日からリーダーと名乗る事を許すわ。 いいでしょ?アーク」
「僕も認めるよ。 よろしく、リーダー」
「……あぁ、何かよくわからんけどこれから頼むわ」
マモルは内心とんでもなく面倒な事に巻き込まれた感はあったが、子供の遊びに付き合うと言う気持ちになれば、多少は心が軽くなっていった。
とは言え、最初のうちはパーティを結成したとは言っても仲良しこよしの名前が決められただけで、基本的にはアークとミリのイチャラブしている隣で、持参した本を読むか魔物が出た際に狩に行ったりとやっている事は1人の時とそんなには変わらなかった。