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勇者も魔王も黙って俺について来い  作者: みかんちゃん
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第02話 もう出会っちゃったの?

 マモルはアークを見張る為、村の誰よりも早朝に目を覚まし、村全体が一望できる村の外の外れにある丘の上から、アークがいつ来てもいいようスタンバイしていた。


 「起きるの早すぎたか……カフェインが欲しいぜ。 にしても、寄ってくる虫の感触が気持ち悪いな」


 マモルはスキル無敵の肉体に守られているため、虫の攻撃は効かないが肌に触れる際の感覚はある。

 ひっついてくる虫を手で払いつつ、1人ごちりながら、茂みの中で過ごす事3時間、ようやくアークは動きを見せた。


 (おっ! 不良坊ちゃん、はっけーーーん。 あいつ、何か物凄く上機嫌だなぁ……)


 アークは家から出ると、何食わぬ顔をして、村の人に挨拶をして回り、村の端に建てられている家畜小屋の中に入っていった。

 そして、数分後小屋の入口とは反対側、つまり村の外の森の中へとそのまま駆けて行った。


 (あんにゃろう、あそこに抜け道作ってやがったな)


 マモルはアークに見つからぬよう、細心の注意を払いつつ、距離を十分に取り背中を見失わないようギリギリの距離感を保ちつつアークの足取りを追う。


 30分程、歩いたであろうか? いや、追跡をしていたので長く感じただけで、正確にはもっと短いだろう、ようやくアークは立ち止まると、目の前にある大きな切り株に腰を降ろすと鼻歌を歌い始めた。


 マモルはアークがいやにご機嫌だなと思いつつも、木の陰からアークウォッチを続けていた。

 すると、森の向こうからアークの方へと同じ位の年の美少女が1人近づいてきた。

 金髪のツインテールに青い瞳に長いまつげ、白く透き通る肌はより一層可愛さを引き立てている。

 それに対してアークはと言うと、ブラウンのエアリーヘアで赤い瞳に健康的な肌色で堀も深い。

 マモルは2人を総合的に分析した。


 (美男、美女じゃねーかよ! 天は二物を与えずと言う諺とは何だったのか……美男は美女を手に入れる。 2物しっかり与えてるじゃねーかよ。 いや、待てよ白かも知れない)

 

 マモルはふざけんじゃねーと心の中で叫びつつも、アークの監視を続けるが、時間が立つにつれ分かった事がある。

 2人の間には甘い空気、甘い囁きが漂っているのだから、これは完全に黒であろう。

 マモルはこの場に居ても立っても居られず、思わず大声で叫ぶ。


 「あぁもう見てられん! 何なのこの甘い雰囲気、ねぇ何なのどういう事?」


 マモルの声に驚いた2人は、思わずマモルの方を向き固まってしまったが、見つかった相手がマモルと言う事もあり、観念したかのようにアークは喋り始めた。


 「抜け出していたのは、ミリに会うためだったんだ」


 「まぁそれは見てわかるよ。 彼女の名前はミリって言うのか?」


 マモルが問いかけると、彼女の方が答える。


 「私は魔王ミリード。 アークは私の事をミリって呼んでる」


 マモルは少し驚いた表情を見せたが、教えてくれた事に礼をいい、ミリードに名乗り返すと、再びアークが話を続ける。


 「で何で出会ったかと言うと、何かの意志に引っ張られたんだよね。 多分、僕勇者なんだと思う」


 「だろうな」


 「そうだよね、笑うよね……ってえぇ! そこ認めちゃうところなの?」


 マモルは自分で告白しておいて、何を驚いているんだか分からないと言う表情を見せて話に入る。


 「要は勇者の血が、魔王へと導いたんだろ? で導かれるままに出会ったらお互い好きになってしまったと。 けれど、勇者と魔王と言う立場から誰にもこの事を言えずコソコソ会うしかなかったって事か」


 アークとミリはマモルの解釈を聞いて、思わず拍手をするも、マモルは止めなさいと言って2人を静止させると、今度は2人揃ってシュンとした。


 「で本題なんだけど、俺さアークの両親に頼まれて見張ってたんだわ。 アークが村の外に行ってる、何してるのか調べてほしいってな」


 アークとミリはマモルの言葉を聞いて、お互い不安そうに見つめて視線を外すと、恐る恐るアークはマモルの方へと向いて口を開く。


 「……この事、やっぱり言うの?」


 マモルは深くため息をつくと、ゆっくりと口を開く。


 「あぁ、俺はこう言うからよく聞いておけ。 【アークは木に興味を持っているようで、色んな木の種類、素材なんかを調べていたように見えた。 一応、アーク本人に直接聞いてみるが、もし木の研究をしているのであれば今度から俺が一緒に付いて行ってやるからこのまま続けさせてやってもいいんじゃないか? もちろん、何時までに帰るかははっきりと決めた上でね】 と報告するが何か問題はあるか?」


 2人はマモルの言葉を聞くなり、思わず目を丸くして目を合わせた。 やがて、内容を理解したかのようにマモルの方へ向きなおして、溢れんばかりの笑顔で大きく首を横に振った。


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