第01話 俺、転生先の大地に立つ
転生された守はラストゲトと呼ばれる、世間からは別名、最果ての村と呼ばれる場所へと転生された。
何故、この村が最果ての村と呼ばれるかと言うと、この世界は北には魔族が住んでおり、魔族の住む地域に一番近いのがこの村の為、世間からはそう呼ばれていた。
マモルはこの村に転生され、何も情報がない所からスタートしたので、最初は情報収集から行った。
ここ、1週間程村の様子などを観察し分かった事は自分の名前はマモル・タカムラである事。
そして、両親は存在しておらず代わりにメイドのジーニさん24歳が一緒に住んでいる事。
マモルは現在8歳であり、髪も目も黒色で、自分のイメージしたイケ面で転生してくれている事。
ジーニさんは、自分が大きくなるまでいてくれるといっていたが、何歳で大きくなったと判断するのかは、分かっていない。
しかし、もう少し大きくなったらこの村を、どちらにしても出るつもりだったので、そこは特に気にしてはいなかった。
そして、この村には同じ年齢の子どもが1人いて名をアークと言う。
アークは8歳にしては異様に賢く、剣筋もいいので、明らかに可笑しいと思ったマモルはアークに聞いた所、アークは自分でも良く分からないけど、選択肢が現れるとその中に必ず答えがあるのだと言う。
マモルは、それをアークから聞いて思った。
(こいつ、絶対この世界の勇者だ。 何て末恐ろしい子なんでしょう……)
それとは別に、村では少ない友達と言う事もありアークとは親しくなった。
そんなアークが最近、気がつくと村から忽然といなくなっては夕方頃になるといるのだと言う。
村の人々は祟りなんじゃないかと騒いだが、マモルは心の中でお馬鹿さんと呟いた。
翌日、そんなマモルに天罰かのように、昼時にアークの両親がマモルの家へと押しかけてきた。
ジーニはアークの両親を家に招きいれ、飲み物を用意しリビングで待っているよう告げるとマモルを呼びにマモルの部屋へと急ぎ、扉を開く。
マモルはジーニがいきなり部屋に入ってきたので、脱ごうとしたズボンを慌てて履き直した。
「わぁ! ジーニ部屋に入る時はノックしてよ」
「すみません……アークのご両親が参られましたのでお呼びしに来たのですが」
マモルは8歳である事から、男性として見られていないのは知っているが心はつい最近まで30歳のおっさんだったのだ。
赤子の過程はない為、裸を見られると言う羞恥心は拭えなかった。
マモルは照れながら、着替えたらすぐ行くからアークの両親にもそう伝えるよう言い、ジーニを部屋から追い出すように背中を押した。
遊び着に着替えた、マモルはリビングへ向かいアークの両親に声をかける。
「一体、こんな真昼間にどうしたんですか? まさか、俺の家を愛の巣として……」
「坊ちゃん! 全く、どこでそんな言葉覚えてくるんですか……」
マモルは少し重苦しい雰囲気をした2人の場を和ませようとしたのだが、アークの両親は顔を真っ赤にし、ジーニに至っては耳まで真っ赤にして物凄い険悪な顔をして睨んで来ているので、マモルはおふざけが過ぎた事を謝罪して、アークの両親達に向かって椅子に座った。
椅子に座ると、すぐさまジーニがマモルの飲み物も用意し、目の前へと差し出した。
マモルはそれを一口つけると、要件を伺う。
「で、今日はどうしたんですか? まぁ何となく、想像はつきますけど」
マモルがそう言うと、両親は椅子から立ち上がりマモルに深く頭を下げ、父親が話し始める。
「……アークは多分村の外に言っているんだと思う。 すまないとは思っているのだが、アークがどこに行っているか見張ってはくれないだろうか?」
本来では、村の外に行く事が大人でも危険な事は村の住人であれば誰でも知っている事である。
それを知った上で、無理を承知でお願いしているため、こうしてアークの両親はマモルに頭を下げている。
「そんなの駄目ですよ!」
それ故、ジーニはそれを許すはずがなかった。
ジーニはマモルのメイドと言う設定ではあったが、それ以上に弟のように可愛がっているので肯定するはずもなかったが、マモルはそれを静止するように言葉を告げる。
「仕方ありませんね。 いいですよ、俺村で一番強いだろうし。 ジーニ大丈夫だから、知ってるでしょ? 俺って凄く強いんだから」
「強いのは知っています。 でも、それは村の中での話で外には魔物だっていっぱいいるんですよ?」
ジーニはそういうとその場に泣きながらしゃがみこんだ。
マモルは泣いているジーニの頭を軽く撫でながら言葉を続ける。
「大丈夫だって、ほら俺って困っている人ほっとけないからさ……昔からね。 てな訳で、明日からでいいかな? 今回は何をしているのかだけ把握するから、接触するかしないかは俺の判断で決めるね」
「あぁ、無理をお願いして本当にすまない」
アークの両親は、ジーニが泣いている間、何度も何度も頭をマモルに深く下げ続けた。