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1 プロローグ 転生したら神様だったんですが

1 プロローグ 転生したら神様だったんですが


 キキィーーーーッ


 最後の記憶は、うるさい車のブレーキ音と、トン、と友人の背中を押した手のひらの温かい感触。まるで、時間がゆったりと遅く流れるような、不思議な感覚。私が背中を押した友人は前のめりな姿勢になっていて、このままでは転んでしまうだろう。少し離れたもう一人の友人は、振り返り様に大きく目を開いて、ポカンとしていた。

 私の視界に車が写ってなかったのは、今でも幸運だったと思う。おかけで死に際に怖い思いをしなくて済んだから。

 重い衝撃と共に視界が暗転。


 それが、私、金沢(かなざわ) 美夏(みな)の最後だった。


「お、来た」

「まぁ、可愛らしい女の子じゃない」

「珍しい髪色ね」


 なのに、突然、目の前には三人の美男女達の真っ白な綺麗なところで目が覚めた。おかしい。道路から一瞬にしてワープでもしたんじゃないのこれ。


 うん、大丈夫

 落ち着いて理解しよう

 こんな時こそ深呼吸

 スーハースーハースー、よし

 モブキャラその3程度には目立たない私が居るだけでなんかきらめいているこの人達に話しかけるのは勇気いるんですけど

 話しかけなくちゃダメだよねこれ

 雰囲気的に


「あのぉ、ここってどこですか?天国ですか?」

「何言ってんの、アンタ。ここは神界よ。天国って名前の場所じゃないわ」


 明らかに挙動不審の私に「何言ってんだコイツ」みたいな表情で背丈の低い白ワンピースの少女が首をかしげた。低い位置に結ばれたツインテールに大きな黄色のリボンが目立つ。そして明るい赤の髪。スプレーしたとかそんな色じゃないくらいに赤い。赤すぎる。


「そうか、コスプレか」

「誰がコスプレだ!!」


 あれ、違ったぽい

 というか、こんな神聖な気配漂う場所でそれはないか

 でも美人補正が入ってても、派手すぎるよねその髪

 もしかして、染めてる?


「……地毛の色が嫌だった?」

「ブッ飛ばすわよアンタ!?これは地毛よ!!」


 怒られた

 地毛なのか、それ

 地毛が派手な赤の人種は初めて知ったよ

 世の中は広いね

 いやまて

 私もまだちょっと混乱してるっぽい


「というか、アンタも同じようなもんじゃない」

「ああっ!ホントだ、青緑だ!」


 そして、地毛

 前世こんな色じゃなかったよね

 黒だったよね

 しかも超ロングヘア

 地面にまで着くぐらい長いとか、どんだけ放置すればこうなるんだよ

 あっ、座ってるから地面に着くのは当然か


「アキリア、クレフェールとのおしゃべりが楽しいのは分かるけど、そろそろ教育を始めましょう?このままじゃ、いつまでたってもクレフェールの(シード)から芽が出ないわ」

「楽しくて会話してるわけないでしょ!?アンタの目、節穴なの?ポロロニル」


 こちらは目に優しい金髪の女性だ。ふわふわショートボブで同じく白ワンピース。胸元が悲しいことになっている以外はたおやかそうな大人の女性だ。


 ふむふむ、ツインテールの方はアキリアで金髪がポロロニルか、クレなんとかは誰だろ

 そんなことより鏡見たい

 手足とかモデル並に細いんだけど


「女の子なら僕帰っていいかな」

「あらダメよ、ダムソール。あなたもクレフェールの教育係でしょう?」


 暗いコケが生えたような緑の頭の眠そうな男、ダムソールは目に隈が出来ていて、睡眠不足っぽい。


「ところでクレフェール。アンタ、(シード)は?」


 アキリアがなんか訪ねてきた

 というか、クレフェールって誰

 人違いなんですが?

 どこの外人?


「私、美夏(みな)って名前でクレ…なんとかじゃないよ?」

「んなわけないでしょ。そこに書いてあるんだから」

「ホントだ!わかりやすい!」


 呆れ顔のアキリアが指した方向に、なんと、今世の新しい名前が!

 ふむ、私名前は「クレフェール」っていうのか


「それより(シード)よ」


 シード…シード…シー…、あっもしかして


「お尻の下に敷いてた固いヤツ?」

「それだ!そして敷くな!割れたら死ぬぞ!!」

「なんとっ!」


 そいつはアカン

 放置したらアカン系アイテムか

 座るのに邪魔だったからそこらへんに転がしておいたんだけど


「転がっていったから割れてないと思うけど、どこいったんだろ」

「はああ!?」


 そんなに騒ぐなって

 どうせ壁のすみで止まってるって

 ほらあった


 白いツルツルした床にあった直径30センチの丸い石(だが軽い)を持ち上げた。これは(シード)って名前なのか。


「いい?絶対に手放すんじゃないわよ?離れていいのは台座に設置してからよ?」

「そんな念押さなくたってわかったってば。ところで台座って何?」

「教育過程で教えることになってるからそのうちわかるわ。それより先に世界創造よ」


 アキリアが私の手を握って引っ張った。


 うん?

 世界…なんだって?


「これを作らなきゃ名実共に神様になれないじゃないでしょ」

「えっ」

「えっ」


 沈黙が訪れた。 


 あれ?

 ここ天国ですねよ?

 名実共に神様?

 それって私がまるで神様になっちゃったみたいじゃないですか


「……いや、今更何言ってんの。アンタは今さっき生まれたばっかで始まりの種すら発芽させてない、

『クレフェール』っていう名の神じゃない」


 oh……


 おめでとうございます。

 私、金沢(かなざわ) 美夏(みな)は、クレフェール(神)に転生しました。




 ネタが舞い降りました。前作は、たぶん、きっと、そのうち続きを投稿すると思います。

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