4日目 民法75m・憲法50m・刑法50m
4日目。
最終日の本日は憲民刑の短答試験。
正しいものを選んだり誤っているものを選んだり、組み合わせが正しいものを選んだりする。
1問あたり2〜3点で、憲法と刑法が50点満点、民法が75点満点。
1つの設問の中に小問がいくつもあって全部正解しないと点数が入らないようになっていたり(最高で10択)。
暗記が不得意な人間を潰しにかかってくる試験だ。
本当に苦手。
ってか足切り(得点率60〜66%くらい)食らいそう。
ちなみに短答で足切りを食らうとこれまでに書いた論文9通は採点されない。
最終日に殺しにかかってくる鬼畜さよ。
そんな4日目は駅の階段で後ろ姿が綺麗な女性のパンチラを目撃し幸先の良いスタートを切った。
そう、スタートだけは。
民法。
あ、あー、、、ん? あー?
っと……
知らん、なんだこれ。
んー、これとこれが正解だな……って選択肢にこの組み合わせねーよ?!
あー…………うん、迷ったら4だ。もしくは3。
時間足りねぇ。
残り20秒か、オーケー、最終問題は3だ。
塗り塗りっと。
試験終了ギリセーフ!(解いてない点ではアウト)
でも大丈夫。
憲法で逆転できるし。
模試で唯一8割取った俺の憲法が火を吹くぜ!
さて、憲法一問目は……っと。
……あれ。
……あー、まあね、うん。
さ、二問目いこう。
あ。
うん。
そうか。
そうか?
ああ……
…………ああ??????
次、次、次、
……そして最終問題の答えをマークして残り時間20分。
しかし見直したところで正解がわかるものでもない。
正解を知ってるか知らないか。
それだけ。
あ……
ああ……
あああああああああああああああああああああ
だめだ
おわった
あしきりデッドエンド
ぜんぶ
すっからかんだ
あ
あ
ああ
ああああああああああああ
発狂しそうになるのを押し留めるのはこういうことなのだと初めて知った。
静寂の中で1人、声一つ上げることも許されずに絶望し自分を責め続けること20分。
まさに恐慌状態。
試験終了の合図がむしろ救いに思えた。
頭の片隅に残る理性で、次の刑法のために判例六法を読もうと動かした指が冷たかった。
いたたまれず外に出た。
予備試験に合格しているクラスメートに会った。
(※ 予備試験とは法科大学院を卒業しなくても司法試験の受験資格が得られる試験である。短答・論文・口述試験の三段階をクリアしているため強い。1年に400人弱合格し、合格率は3%くらい。「予備試験合格」は優秀さを客観的に示す指標となるため、大学院在学中に受ける人もけっこういる)
「今回は難しかった。落としにかかってきましたね」
彼はそう言って笑みをたたえて去って行った。
彼の「難しかった」は「少し悩みましたが正解には辿りつけました」の意味だろう。
彼は以前に模試で満点を取っている。
比較してはいけないし、比較したところで落ち込むだけだ。
初夏の太陽はまぶしい。
青い空に灼かれる。
世界が雑然と散らばり、また収束するように感じた。
足元でカタバミがピンクの花を咲かせている。
こいつどこでもいるよな、しぶといな。
俺もおまえみたいにしぶとくなりたかったよ。
ハート型の葉っぱは可愛らしい。
三つ葉なのがまた華やかでいい。
可愛くてしぶといって凄いな。
どすこい女子だな。
可愛くねーなそれ。
……あ、これ、四ツ葉だ。
珍しい。
見つけると幸せになれるのはシロツメクサのほうだっけか。
まあ、でも。
なんかいま、神様に励まされた気がする。
……うん。
戻るか。
残り15分。六法読もう。
刑法。
初っ端から学説理解を聞いてくるあたり、これまでと毛色が違うし、事務処理系の問題が多い。
でも、少なくとも憲法直後の精神状態からは回復していた。
カタバミ様サマサマだ。
こうして初めての司法試験は終わった。
あとは明日の夜以降に出るであろう各予備校の短答解答速報で自己採点して、各予備校の合格推定点(=足切り点)を確認して、
来年の受験日に向けて再始動するか、
就活するかを選ぼうと思う。
というわけで、試験は終わりましたが、今後は短答自己採点結果などを更新していく予定です。
希望があれば全国模試の結果なども載せます。
その場合は感想欄へ書いてください(「小説家になろう」ユーザー以外にも感想欄を開きます)。
質問とかもあればどうぞ。
司法試験ってどんなん、とか、法科大学院ってどんなん、っていうのとかでもOK。
法科大学院入試については適性試験は上位5%くらいだったので、解き方とか要望あれば頑張って答えます。(この試験、来年からなくなるんだっけ?)