表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たのしいゆめ  作者: 蒼翳
7/10

第七夜

ここの家の親父は芸達者だ。

いつも被っている赤茶けたニット帽を脱げば次から次へと数字やら言語やらが溢れて来る。

その膨大な量たるもの数分で家が埋めつくされていくようだった。その度に窓を開けて、その記号達を空の彼方へと逃がしてやるのだ。

それは見たこともない色で輝きながら空を彷徨い、どこかしこに墜落しては喜劇や悲劇に変わっていく。それはもう上質なもんさ。

人々は道路の真ん中で、側溝の中で、塀の上で、笑い転げたり、泣いたりするんだ。

コンクリート塀はいつも愉快で、空き地のブナの木は気づけば涙で腐敗しそうになるんだ。


親父は言う。

『そんなもん、俺の知ったことじゃないさ』


無責任な気もするけれどもそんなことはないんだ。それで誰かが死んだとか云うわけじゃあないんだからさ。


ここの家の親父は芸達者だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ