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第四夜
薄暗くてるてる坊主達が照らしてくれている。
倒木はもう六万年も前に死んでしまった。
床一面に百合が咲いている。
その中に僕は彼を水中花として植えた。
ガラスの中、水の中彼はゆらゆらと動いている。
僕を覆う壁はもう何も無い。
僕を威圧する空も無いのだ。
解放。
解放だ……
そして水中花は謳歌する。
僕の自由を無心に謳歌してくれている。
現れた獣なんて殺してしまえば良いんだ。
そして水中花は謳歌する。
僕の開放を無心に謳歌してくれている。
百合が何万本枯れた所で僕は知らないよ。
そして水中花は謳歌する。
僕の……
………………夢を。
ああ、そうだ。気付いた頃にはきっと薔薇が咲いてくれている筈だから。
そうだよね。気付いた頃にはきっと幾千の目が僕の芸術を昇華して、コンクリートを入道雲の手下にしてくれる筈だから。
そうさ。
気付いた頃には
きっと 瓶の底 で
異常なまでに
純粋な
愛にへばりついた
アンモナイトを
壊す日が
来る筈だから。