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たのしいゆめ  作者: 蒼翳
3/10

第三夜

『静かに耳を澄ますのだ。


君の忘れたい言葉が近付いて来るだろう。』


ふとその言葉を聞き、起きてしまった。

目覚まし時計は繁華街だ……

インディゴブルーのライトを点灯させながら、騒がしさを凝縮したような音を出している。

窓の外、数人の爺が立っていた。

物乞いすることもなく、バラバラに念仏を唱えては地面に落ちて、そして再び浮き上がってくる。

壁は波打ち、布団から出ることを催促する。

何をするということもない、屍のような僕を窓の外、爺さん達は念仏を唱え、呪うような目つきで急かしている。


居間の天井は曇天。

手を上げようものなら許さんとばかりに稲妻を僕に落とす。そうしたなら、爺さん達は死んでしまうだろうからそんなことはしない。

トーストにバターを塗る。

塗る度に受け皿は溶けていく。トースターは焦げていく。バターナイフはひん曲がっていく。だから好きだ。


今日は散歩に出かけよう。

外では老人達が不満そうに地面から空中への移動をする運動をただただ行っている。認知症の防止さ、我慢するといい……何年後に僕もこれをするのだろうが。


痴漢共ばかりいる河川敷を行く。

軟体動物のように互いの体を交じらわせたり……なんて痴態だ。

時折地の割れ目からマグマの海へ心中している連中もいる。


今日はいい天気だ。

川釣りなんてしたら新鮮なライオンが釣れるだろう。


そうだ、お駄賃握りしめて、ボロ漁船屋に行こうかな。

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